<なぜロボットは原発事故に生かされないか>

なぜロボットは原発事故に生かされないか


 日本はロボット技術が進んでいる技術大国のはずではなかっただろうか。それが福島第一原発事故で役立つはずの極限作業ロボットは開発途中で打ち切られ、実践で使われずに米国製ロボットが使われる結果になった。なぜ、ロボット技術は事故に生かされなかったのだろうか。













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 原発事故に限らないが、遠隔制御で作業をおこなうロボットは機能的な限界が多く、動作速度が遅い、作業範囲が狭い、起伏が多い場所では使えず、平坦な場所での作業に限られるなど、使いにくい機械であるのが問題としてあるようだ。

 米国が開発して軍事用に使用されているロボット兵器は動作速度も速く、行動範囲も広く、航空機やヘリコプター、キャタビラで走行するロボットなど多種多様な物があるが、実戦でも使用されている。今後は宇宙開発でもロボットが使用される予定のようだ。

 それに比べると、日本製の極限作業ロボットは技術的に古く、重量が大きく、作業範囲が限られ、平坦な場所でしか使えず、動作速度が遅いなど、実用に耐え難い問題を克服出来ていなかったようである。

 遠隔制御ロボットは柔軟な発想で考えないと実用に耐えるものにならない。本体に重いバッテリーを積んだりしたら、それだけで作業能力を制限してしまう結果になる。一定時間使用出来れば壊れても構わないなど、小型で使い捨ての発想をし、電力も含めて遠隔制御でおこなうようにすれば、大幅な軽量化が可能になるが、そういう斬新な考え方が出来る人が開発しないと役に立つものにならないようだ。

 大型クレーンやパワーショベルの先端に取り付けて、遠隔制御で撮影や作業が出来るように設計されたロボットがあっても良いはずだが、そういう発想のロボットは開発されていないようである。

 従来の発想の枠をはみ出す設計思想が要求されるのが極限作業ロボットなのだが、国も電力会社も予算を出さず、使おうとせず、原発事故が起こった後は米国頼みになったようである。

 宇宙開発の視点で考えれば、壊れた原発建屋の天井から内部に侵入し、貯蔵プールに沈んでいる使用済み核燃料棒の一部をサンプル採取して帰還するロボットなどは、いくらでも考えられるように思うが、原発事故の想定そのものが現実から解離したものだっただけに、ロボット開発に結び付かなかったのだろう。

 事故時の高圧で故障した計器の数値を修理が終わるまで過信し、メルトダウンがわからなかったと言うが、責任逃れの口実を機械の故障に求めているとしか思えない。

 現在の技術水準で考えるならば、原発事故が起こった後、すぐに多種多様な遠隔制御ロボットが大量に投入されて、事故の詳細なデータが確認出来るようになっているのが原発だと信じ込んでいた人が多かったのではないだろうか。まさか、最初から最後まで人間に頼った作業ばかりだとは考えていなかっただろう。この落差が原発の安全対策の古さを現しているように思われる。

 それにしても、米国の遠隔制御ロボットは福島第一原発事故を全て知っていて開発されたような設計になっているが、これも計算済みだったのだろうか。



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