<心配される放射能汚染>

心配される放射能汚染


 マスコミは自然放射能の1万倍になっても大丈夫だと報道しているが、本当にそうだろうか。確かに一時的なものならば影響が少ないかもしれないが、風向きによっては深刻な放射能汚染も起こり得るし、放射能レベルが高い福島県の数字はほとんど公表していないだけに信用出来ないようだ。

 決して不安を煽る意味で書いているわけではない。放射能汚染が起こった時に心配されるのは、大気中の放射能レベルが上がって呼吸器系に影響が出た結果、半年や1年という時間が過ぎた後で甲状腺癌などの症状が出る危険がある事で、さらに深刻なのは、放射性セシウムなどの長期間残存する放射性物質が土壌中に残った結果、植物が汚染され、それを食べた家畜が汚染され、生物濃縮によって放射能レベルが桁違いに高くなる問題である。

 チェルノブイリ原発事故でも、生物濃縮で高くなった放射能が食べ物を通して体内に蓄積し、多くの人達の生命を奪っている。今後は、白血病や甲状腺癌の心配だけではなく、生物濃縮による食べ物の放射能管理を厳しくしなければならず、下手をすると汚染地域の農業や畜産が大打撃を受ける結果になりかねない事だろう。

 →放射能
 →チェルノブイリ原子力発電所事故

 もっとも、デマに惑わされるのも危険である。チェルノブイリ原発事故の時は放射性ヨウ素が大量に大気中に放出されたという情報が流れた結果、ヨウ素剤を買い求める人達が殺到してヨウ素剤が高騰し、ヨウ素中毒を起こして死亡する人まで出る騒ぎになった。実際はヨウ素剤を飲んでも飲まなくても大きな違いはなく、放射能汚染で深刻な被害が出ている。

 →ヨウ素剤

 福島第一原発事故はすでに収束に向かっていると言われているようだが、マスコミの報道がどこまで真実かがわからない。危険レベルの放射能に汚染された地域の数字は隠しているように見える。原発から漏れた放射性物質の種類や量も報道されていない。隠されている情報が相変わらず多いように思う。

 福島第一原発事故では風向きが主に海側に向かっている日が多いせいか、海上への放射性物質の流失が多く、陸側に風が吹いた日は少ないようだが、だから安心だとも言えない。

 チェルノブイリ原発事故の頃には、放射能汚染された食べ物は食べるなという指導がおこなわれたが、結局は飢えに耐え切れずに食べた人が多かったという。福島第一原発事故はチェルノブイリ原発事故ほど深刻ではないだろうが、情報隠しが悲劇を生む構図に変わりはない。

 福島第一原発事故と比較されているスリーマイル島原発事故では、原発建屋が爆発で吹き飛んだりしなかったし、事故が起こった原子炉も1つだけだった。それに比べて、福島第一原発は4基の原発全てが破壊的な事故を起こしている。現在実施されている事故対策もチェルノブイリ原発事故で用いられた方策と同じものが多いように見える。

 大きな被害が出ずに済めば良いのだが、時間が経たないと影響がわからないのが原発事故の特徴である。スリーマイル島原発事故でも甲状腺癌や白血病患者が増えなかったわけではないのだが、当局は現在も否定を続けている。

 →スリーマイル島原子力発電所事故

 今後、予測される放射能被害の患者数が公表されるとしたら、決して無視出来ない数字になるだろうと思う。

 →福島第一原子力発電所事故

 <追記>

 全国の放射能濃度一覧グラフが公表されているので参照して欲しい。もっとも、このグラフには放射能汚染が最も酷い宮城県と福島県は公開されていない。都合が悪い情報は隠し、都合が良い情報しか出さない官僚体質が露骨に表れていると言う以外にない。

 →全国の放射能濃度一覧

 米国はスリーマイル島原発事故の教訓を元にして風下80km以内は危険という基準を設けているが、政府は風下20~30kmという範囲しか避難命令を出していない。また、放射能汚染を食い止めるのが遅れた場合は梅雨や台風シーズンに入り、降雨量が増えて放射能汚染も深刻になる問題が出て来る。

 福島第一原発の消火作業もチェルノブイリ原発事故で使われたスズや鉛を散布する方法が効果的であり、水を撒いても蒸発してしまって効果が薄いという専門家の指摘もある。現在、政府やマスコミがおこなっている消火作業やニュース報道は取り返しがつかない愚行なのかもしれない。



                                   <NOBUAKI>