<不思議なことばかりの日本の宇宙開発>

不思議なことばかりの日本の宇宙開発


 今さら言うまでもないことであるが、日本の宇宙開発は歴史的には早期から始まったものであり、ソ連、米国に継いで3番目になるほど早くから地道なロケット開発がおこなわれて来た。それは少ない予算をやり繰りしておこなわれて来たものであり、創意工夫の集大成のような技術が多いのも事実である。

 それは決して恥じることではなく、むしろ誇るべきものだと思う。しかし、最近、特に米国でスペースシャトルによる宇宙開発が始まって以降の日本の宇宙開発は、これまでのものとは全く違う失敗への急降下だったのではないだろうか。

 スペースシャトルによる宇宙開発には、大きく3つの方向性があったように思う。一つは再使用型宇宙船の実現、もう一つは打ち上げ回数の大幅な増加、そして、有人と貨物の両方を打ち上げる多目的な宇宙船の実現である。

 これらは全て実現したが、結果はご存知のように事故の多発という失敗を繰り返すことになった。理由はもちろん、液体水素ロケットと大型固体燃料ロケットという組み合わせが災いした事故であった。これは計画の初期段階から科学者や技術者の猛反対を受けたにも関わらず、NASAが強行に押し切った結果である。

 そして、日本の宇宙開発もH2以降は、スペースシャトル計画を原型にして計画された為、全く同じ失敗を繰り返す結果となり、同じ種類の事故、打ち上げ失敗後の計画の延期と長期化、そして、滞った計画を実現する為に、短期間に集中的に打ち上げ回数を増やすという過密スケジュールの中での打ち上げラッシュという、悪循環のパターンまでスペースシャトルそっくりそのままとなったのである。

 もちろん、それが良い結果を生まないのは言うまでもない。宇宙開発というのは、本来、そういうやり方をするべきではないものである。米ソが冷戦時代に軍事用ロケットを驚くほど大量に打ち上げていたのは、信頼性のある使い捨てロケットが当時は大量に生産出来たからに他ならない。それらは、液体水素ロケットではなく、ケロシン系の燃料を主に使ったロケットだったので、液体水素ほど事故率が高くなかったのである。また、当時の宇宙船は耐熱タイルを貼ったものではなかったので、タイルが剥がれ落ちる危険も無かった。

 スペースシャトルやH2では、それが全く違うものになっている。ロシアや中国、EUなどは、旧式のケロシン系ロケットを使った宇宙開発を続けているので、信頼性は非常に高い。米国もスペースシャトル以外はケロシン系ロケットがあるので、有人打ち上げ以外は問題ではない。

 日本の場合、H2が事故続きだった時にも、M5という固体燃料ロケットが現役だったので、宇宙探査用の衛星や探査機の打ち上げには支障が出なかったが、商用打ち上げは惨憺たるものであった。スペースシャトルの事故はH2でも起こると言って良いほど、同じような事故が続いている。

 そして、その平均事故間隔は決して長いものではなく、スペースシャトルと同じくらい短い。米国は次世代宇宙開発ではスペースシャトルではなく、従来型のカプセル式宇宙船を使うことに決定したし、ロシアは小型シャトル型の再使用宇宙船を使うものの、エンジンは全て従来型のケロシン系ロケットを流用することにしている。液体水素ロケットは懲り懲りだという意識が強く働いているような計画の見直しである。

 それに対して、日本の宇宙開発は決して変わらないのである。一度決まったら、変えてはならないように昔から決まっている。どんなに事故が続いていても、液体水素ロケット以外の選択肢は選んではならないわけである。これからも事故が続くことが間違いないことは容易に予測出来るが、それでも絶対に変えてはならないということなのである。

 H2計画が始まってから、日本のロケットの打ち上げ成功率は下がっている。そのほとんどがH2の事故である。確かに、H2の液体水素ロケットエンジンは改良に改良が加えられ、事故率は大幅に減少している。しかし、事故率が大きいという液体水素ロケットの特性が無くなったわけではないのである。米国は商用宇宙開発をスペースシャトルに絞り込んで失敗し、計画を見直したが、日本は商用宇宙開発をH2以外のロケットでやることは出来ないように決められてしまっている。

 これからも不安定な打ち上げ計画が続くことになる。商用宇宙開発は日本ではなく、ロシアや中国、EUなどの信頼性が高いロケットに流れていくであろう。国内の打ち上げ計画まで海外のロケットで打ち上げるようになってしまっている。H2を商用打ち上げから決して変えなかった結果である。

 似たような国家計画は核燃料再利用計画の破綻など、他にいくつもある。もちろん、H2をやめる必要は無いだろう。今やめれば、ますます商用宇宙開発が遅れるだけだからである。しかし、H2が信頼性の高いロケットとして認められる頃には、日本の商用宇宙開発は決定的に遅れることは間違いないように思う。

 米国、ロシア、中国、EUの年間打ち上げ回数と比較すると、日本の打ち上げ回数は1桁少ないそうである。もはや理由を言う必要は無い。



                                   <NOBUAKI>