<NHKが破局に向かっている理由は何か>

NHKが破局に向かっている理由は何か


 いまだに記憶に新しい事件がある。それは忘れもしない。1990年に放送されたイスラエル秘密捜査事件を審議した国会中継のビデオであった。これほど視聴者を馬鹿にし、この事件の被害者を愚弄した番組は他になかっただろう。

 この国会中継は最初から異常だった。まず、ビデオの再生が途中からおかしくなる。最初の方は普通に放送されていたのだが、途中から巻き戻しになったり、突然、ビデオが切れて、別の場面に切り替わったり、混乱ばかりが目立つ番組だった。NHKは何をやっているのだと苦情の電話が相次いだという。

 また、政治家の反応も異常だった。まず、国会中継がおこなわれている最中に官房長官達は議事録に記録しないと言い始め、野党と議論になる。理由はもちろん、米国政府が引き起こした事件だからである。しかも、多くの犠牲者が出ており、生き残った被害者にも補償金を一切支払うな、裁判に訴える証拠を残すな、と米国政府から命令が来ている為であった。米国側からはどう見ても米軍かCIA関係者としか思えない人間が多数登場し、ハリウッドの俳優達も多数が顔を見せていた。たちまち与野党で激論が交わされるが、頻繁に音声が途切れて良く聞き取れない。社会党の土井委員長が米国側の人間を激しく罵り、両者の間で掴み合いの喧嘩になりそうな雲行きだった。激しい非難の応酬、米国側の答弁はしばしば途切れ、与野党の政治家達の声しか放送されない。よほど重要な国家機密に属する答弁らしかった。当時の私はテレビを見ながら血が騒いだ。

 事件に対する米国側の事情説明は野党を怒らせる内容ばかりで、明らかな挑発行為であったが、断片的な内容を繋ぎ合わせてみると、こういうことであった。米国は情報活動として共産圏を壊滅させる計画を立案して世界中で実行していた。その一環として、日本国内で米軍の軍事機密になっている化学物質を使った洗脳行為を日本人の幼児多数におこなった。その当時のレーガン政権を支えていたパプテスト教会というカルト宗教がそれを実行に移した。国家機密を守る為に洗脳が解けた幼児は殺害したが、このことが明らかになると日米関係が険悪になるので内密にして欲しいというものであった。

 しかし、米国側の答弁はこの後から信じ難い内容に変貌する、宇宙人の話をしたり、特殊撮影で作ったシーンを国会中継のビデオに挿入したり、明らかに国会中継の内容の信憑性を無くす為の隠蔽工作が露骨におこなわれた。これはただごとではない。米国は何か重要な秘密を隠そうとしている。私はすぐに直感した。

 NHKはすでに米国の言いなりだった。政治家達は事件を隠し、国会中継が放送された事実まで隠そうという姿勢が露骨であった。最初は米国側と激しくやりあっていた野党も国会中継の後半では米国の作戦に翻弄されていた印象が強かった。

 事件が起こった理由は次のような明らかな作り話で締めくくられた。ハリウッドの俳優達が信じている占い師がいて、その占い師は99.9%の確率で未来のことを全て言い当てていたので信用していた。その占い師が共産圏を崩壊させるには、日本人を使って作戦をおこなった方が良いと言ったので、その通りにしたというものであった。もちろん、こんな作り話を信じるほど私は馬鹿ではなかった。事件の真相を誰も信じない内容にする為にCIA長官のブッシュが部下に命じて考えさせた作戦に違いなかった。同じような作り話は何度もおこなわれ、嘘がばれるたびに野党との間で非難の応酬になったが、結局、真相は隠されたまま、当時の社会党が事件を隠すことに同意して国会中継は終了した。被害者へは補償金が支払われる約束がされたが、これも実際には全く実行されなかったのは言うまでもない。もちろん、これも米国によって計算されたものであった。

 イスラエル秘密捜査事件を審議した国会中継のビデオが放送された翌日、NHKには問い合わせや苦情の電話が殺到したという、ところが、それに対するNHKの対応は驚くべきものだった。ニュースで女性アナウンサーが問い合わせはしないで欲しいと喋り、その後でNHK会長が自らテレビ出演して視聴者の皆さんから問い合わせが相次いでいる国会中継のビデオの再放送は出来ないと言い、この事件に関しては一切返答出来ないというものであった。NHKの関係者には放送直後から緘口令が出たという。

 同じく民放もまた、各社対応が異なったが、この事件の真相を隠すことでは全ての局が一致した対応を取っていた。最初は被害者よりの放送をおこなっていたTBSも、途中から圧力を受けたのか、事件に関しての報道を中断した。それどころか、米国のカルト宗教の犯罪に関しては一切報道を差し控えるというコメントまで放送して、視聴者を驚かせた。

 この異常な報道事件が起こった時からNHKは明らかに以前のNHKとは別の放送局に変貌したのである。この事件を境にNHKは政府の言いなりになる体質を強め、腐り始めた。現在、問題になっている汚職事件の多くが、この事件の後から次々に起こっているのは偶然ではないだろう。

 一度やってしまえば、後は何度でもやれるという格言があるが、まさしく、NHKもそれは同じであった。奇しくも助かった事件の被害者を地獄に突き落とし、事件の真相を隠蔽したわけで、同じことは何度でもやれるのは間違いない。まさしく、NHKは何でもやるというキャッチフレーズそのままに破局への道を突っ走るべく、公共放送という立場を捨て、政治家の一言で事実を隠し、放送内容の改竄をおこなう国営放送局への道を歩み始めたのである。

 最近になって発覚した事実は、すでに、この時期から起こり始めていた。不正、汚職、公金流用、事実の隠蔽、番組内容の改竄・・・・すでに語るに尽きた事件ばかりが相次いだ。そして、どんなに非難されても政治家が悪いとは絶対に言わないNHKである。政治家を庇って破局してもかまわないNHKである。すでに自社による浄化能力を期待する方が酷であろう。放送局の責任さえ認めない体質が出来上がってしまっている。視聴料を払ってくれとお願いしても、政治家の責任を問うとは絶対に言わないNHKである。視聴者に対する正義よりも政治家への忠誠心が優先するNHKなのである。

 もはや、何も言うまい。NHKが無くなる日は、それほど遠くないに違いない。イスラエル秘密捜査事件の被害者の人生を米国に売り飛ばした罪がこれほど重大な結果に繋がるとは、おそらく、考えていなかったに違いない。



                      2006年1月29日   <NOBUAKI>