<NHK特集「宇宙の渚(第3集)」を見て>

NHK特集「宇宙の渚(第3集)」を見て


 今回は彗星と隕石との関係を中心にしたドキュメンタリーで、生命の始原物質が隕石によって地球にもたらされたというパンスペルミア仮説をテーマにしたものである。

 →彗星
 →隕石
 →生命の起源

 実写とCGによる壮大な宇宙の景観は素晴らしいのだが、内容的には従来の学説の追認に終わっている番組である。生命起源物質が宇宙から隕石によって地球に運び込まれたという学説はあまり信じない方が良いだろう。

 生命起源物質は宇宙のどこにでもあるというだけで、それ以上の意味はない。暗黒星雲内にも、星が誕生するアソシエーションの近くにも、ブラックホール周辺にも、彗星の内部にも、生命起源物質は普遍的に存在するのだと考えて置いた方が良いようだ。

 地球が誕生した頃に彗星が雨のように降り注いだ時期があって、その頃に生命起源物質が地球上に大量に降り積もった可能性があるようだが、それ以降は微々たる量しか地球に飛来していない。

 宇宙から生命起源物質が飛来したのではなくて、もともと宇宙には生命起源物質が豊富に存在し、どこにでも生命が発生し得る可能性があるわけで、地球以外の天体に生命の可能性を求める学者がいるのは、その為である。太陽系は生命起源物質だらけなのである。

 しかし、生命が生命起源物質から誕生したかどうかはわからない部分がある。生命起源物質には生命に含まれていない有機物が存在するからで、生命には毒になる物質も含まれている。地球起源の生命は熱水鉱床のような高温の海水中で有機物が複雑な化学反応を起こして生命に到達したと考えた方がもっともらしいように思う。

 生命起源物質から生命が発生したのであれば、火山活動がある惑星や衛星の全てに生命が存在するはずだが、実際には地球以外は確認されていない。地表や地下に生命が存在する天体ならば、生命起源のガスが放出されているはずで、それが見つからないのが謎である。

 金星に生命が発生していたならば、太陽の潮汐力で金星の自転が遅くなって行く間に大気圏は二酸化炭素を失って酸素を多く含んだ大気になり、自転が止まった後も海が存在出来るほど気圧が低い環境が維持されていたかもしれない。現在の金星は生命が存在する可能性など無いのだが、宇宙から生命起源物質が降り注いでいるのは地球と同じなのである。それは火星に対しても言える。

 46億年間に渡って全ての惑星に生命起源物質が降り続けたのに、生命が発生したのは地球だけで、他の惑星には生命が発生した痕跡は見つかっていないのを見る限り、生命起源物質が宇宙から降り注いだのが生命発生に繋がったという考えは疑問に思う。



                                   <NOBUAKI>