<NHK特集「知られざる放射能汚染」を見て>

NHK特集「知られざる放射能汚染」を見て


 深夜、再放送で、NHK特集「知られざる放射能汚染~海からの緊急報告~」を見たが、福島県太平洋沿岸の放射能汚染の実態を描いたドキュメンタリーで、以前から専門家によって指摘されているように、想像以上に深刻な放射能汚染が続いているようだ。



 →【放射能】福島第一原発から飛散した主な放射性同位体(核種)全31種・放出量・具体的な人体への影響など

 福島第一原発事故後に福島県沿岸の半径20km圏内の海で深刻な海洋放射能汚染が続いている状況をレポートした番組である。半減期が30年と言われる放射性セシウムや放射性ストロンチウムによる残留放射能が海底に降り積もり、魚介類が基準を遥かに超える放射能汚染に晒されている実態や、陸地でも閉鎖性水域に属する淡水湖や海岸に近い河川では放射性物質が湖底や川底に沈殿して残留し、生物濃縮による深刻な生態系への放射能汚染が続いている。

 特に福島県内はセシウム137の蓄積量が最大1470万Bq/㎡となり、チェルノブイリ原子力発電所事故の340万Bq/㎡を大幅に超えて、世界初の深刻な放射能汚染値に達している。

 東京湾でも、これから2年半後には放射能汚染レベルが最大値に達し、海産物への影響が問題になるようである。放射能汚染は一過性のものではなく、天文学的な時間に渡って影響が続くだけに、問題の深刻さはチェルノブイリ原発事故と変わるところがない。

 海洋放射能汚染は拡散して薄まるのではなく、海底に沈殿して天文学的な長期に渡って生態系の汚染が続くものであるようだ。放射能汚染で海底や湖底が汚染された地域は何も対策を取らなければ絶望的な状況にあるようである。

 政府とマスコミが福島第一原発事故後の放射能汚染の実態報道を遅らせた為に、真相がわからないままの状況が続いていたが、海洋放射能汚染のドキュメンタリー番組が実に1年近い遅れになったのには驚かされる。

 すでに原発事故直後からインターネットやYouTubeなどで国内と海外からの大気圏や海洋の放射能汚染情報が飛び交っていたのに対し、テレビによる報道は福島第一原発の爆発映像、放射能汚染地図など、どれを取り上げても、延々として進まなかった印象がある。福島第一原発事故の実像が明らかになり始めたのは半年を過ぎてからで、今なお、真実が明らかになったとは言い難い状況が続いている。

 海洋放射能汚染に関しても、政府が原発建屋内に漏れ出た高濃度放射能汚染水の海洋投棄を認めざるを得ない状況に追い込まれたのは記憶に新しく、その時は放射能汚染水は海水で薄められるという説明だったが、実際には大部分の放射性物質は薄まらずに海底に降り積もり、高い放射能値を維持したまま長く残る結果になったようだ。

 番組では、今後の海洋放射能汚染が海産物に与える影響に関して一切触れなかったが、湖底や海底に残っている放射性物質の除去や埋設がおこなわれない限り、数百年に渡って生態系に影響が続くのは間違いないだろう。

 →福島第一原発事故による放射性物質の拡散
 →福島第一原子力発電所事故
 →福島第一原子力発電所事故の経緯



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