<福島第一原発事故のベントは成功だったか>

福島第一原発事故のベントは成功だったか


 原子力安全・保安院は福島第一原発事故のベント(格納容器からのガス抜き作業)が失敗していたら、数シーベルトという、致死量の放射能が原発周辺地域に降り注いでいたという想定結果を公表した。

 →「ベント不成功なら致死量の被曝」保安院、震災翌日想定
 →東日本大震災:福島第1原発事故 ベント失敗で敷地線量数シーベルト 3月12日試算

 果たして、どこまでが真実なのだろうか。津波被害を受けて全電源喪失状態に達した段階で炉心のメルトダウンは始まっていたわけで、数時間後には圧力容器の底を溶かして核燃料が流れ落ち、格納容器内の冷却水を沸騰させて圧力が急上昇し、政府がベント(ガス抜き作業)に入るように命令を出しても東京電力が従おうとせず、そのまま時間が過ぎてベント作業をおこなったという報告は届いたようだが、その後で1号機と3号機の原発建屋は爆発事故を起こして吹き飛び、現在までに広島型原爆の168倍という、大量の放射能が環境中に放出された事実に変わりはない。

 チェルノブイリ原発事故が原子炉の暴走爆発という史上最悪の原発事故でありながら、放出された放射能は広島型原爆の500倍であり、福島第一原発事故の放射能放出量は、その3分の1であり、チェルノブイリ原発事故で500キロ圏内が放射能汚染を受けたのに対して、福島第一原発事故が300キロ圏内まで放射能汚染が報告されているなど、大きな違いがあるわけではない。このまま放射能放出が止まらなければ、最終的な放射能放出量はチェルノブイリ原発事故を上回る危険さえある。

 政府とマスコミはベントの成功と水素爆発に拘っているが、爆発事故の映像を見る限り、1号機も3号機も爆発と同時に大量の水蒸気が放出された直後に急激な放射線量の上昇が記録されており、格納容器が水蒸気爆発で破損した事故だったように思えてならない。





 政府とマスコミが、半年も詳細な事故情報を隠し、わざと時間を引き延ばしては、少しずつ悪い情報を出して来る手口を使うのが、最悪事故の情報隠しを物語っているだけに、信用出来ないのも事実である。現在も福島第一原発事故が事実上のメルトアウト(チャイナシンドローム)に達しているのを認めようとしていない。

 福島第一原発では、原発周辺の放射線量が高過ぎるので、放射線シールドで覆ったコンテナ内に操縦室を置いて、遠隔制御で作業機械を操縦している状態だという。遠隔制御ロボットが強い放射線で壊れて動かなかったチェルノブイリ原発事故に比べれば、僅かな違いに過ぎない。

 全ての作業が終了するまでには3年かかると言われているが、チェルノブイリ原発事故の石棺に相当する放射線シールドを張ったテントも建設中である。

 →1号機建屋にカバー取り付け進む 東電が写真公表

 結局のところ、環境中に放出された放射線量、放射能汚染の深刻さ、事故処理方法のどれを取っても、チェルノブイリ原発事故と大差がない結果になっているようだ。今後、溶融した炉心が格納容器の底を溶かして地下に潜り込むメルトアウト(チャイナシンドローム)に達していた事実が明らかになるとしたら、その対応はどうなるのだろうか。

 →チェルノブイリ原子力発電所事故
 →福島第一原子力発電所事故
 →福島第一原子力発電所事故の経緯
 →炉心溶融



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