<NHK「原発危機(第1回)」を見て>

NHK「原発危機(第1回)」を見て


 福島第一原発事故発生から現在までに至る過程をまとめたドキュメンタリーだが、インターネットで事故の詳細な情報を見て来ただけに物足りない印象を受ける番組だったように思う。

 相変わらず、政府発表通りの内容しか含まない番組作りであり、メルトダウンが起こっているCGが出ても、その後に起こるはずの溶融した炉心が圧力容器の底を溶かして格納容器に落下する映像が無く、格納容器内の圧力が異常に高くなったにも関わらず、ベント(ガス抜き)が遅れた理由についても十分な説得力を持つ内容を含まないなど、辻褄が合わない番組である。

 冷却機能が停止すると早期にメルトダウンが始まって溶融した炉心が圧力容器も格納容器も溶かしてチャイナ・シンドロームに至る説明を避けているせいか、解説がちぐはぐな印象を受ける。

 原子炉内の圧力が異常に高くなり、ベント(ガス抜き)を実施したのはスリーマイル島原発事故でも同じであり、炉心溶融(メルトダウン)も起こっていたが、水素爆発は起こっていない。なぜ、福島第一原発事故では爆発が起こり、スリーマイル島原発事故では起こらなかったのかについても、説得力がある解説はなかったようだ。もちろん、事故がチェルノブイリ原発事故に匹敵する規模に発展した原因に関しても何も触れていない。

 →スリーマイル島原子力発電所事故
 →チェルノブイリ原子力発電所事故

 スリーマイル島原発事故では炉心溶融は半分まで進行していたのが、後に写真付きで報道されているが、福島第一原発事故では全炉心溶融に達し、圧力容器の底が抜け落ちて格納容器内で水蒸気が大量発生し、制御不能になって爆発したのではないだろうか。

 現在も地下から大量の放射能を含んだ水蒸気発生が続いている原因に関しても、何の解説も加えられていない番組である。マスコミの不十分な報道そのままの番組であり、視聴者の疑問に答えていない。

 周辺住民の避難に関して政府やマスコミが情報を止めて公開しようとしなかった点にも触れているが、その理由についても何の説明も加えていない。誰が何の理由で放射能汚染に関する全ての情報を止めたのかがわからないままである。放射能汚染の被害を過小評価する報道に終始していた当時のマスコミの報道姿勢に関しても何も触れずに終わっている。

 疑問ばかりが残る番組であり、事故当時は決して放送しようとしなかったYouTubeで公開されている福島第一原発1号機と3号機の爆発映像を、今になって流すなど、情報操作に加わっていたNHKの責任回避とも受け取れる番組作りである。

 事故当時の政府とマスコミが情報の国家統制をおこなって福島第一原発事故の真相を封じ込めていたと認める勇気も持ち合わせていないのがわかる番組であり、インターネットで福島第一原発事故に関する多くの情報が流れていた事実に関しても一切触れないままである。原発事故のような緊急事態に情報を止めて情報操作に終始した姿勢は強く非難されるべきだろう。

 →福島第一原子力発電所事故



                                   <NOBUAKI>