<福島第一原発事故と鬱症状>

福島第一原発事故と鬱症状


 東日本大震災の被災状況を見て鬱(うつ)症状になる人はほとんどいないだろうが、福島第一原発事故の事故報道を見て鬱(うつ)症状になる人は多いようだ。原発事故が与える心理的打撃はどの程度あるのだろうか。

 福島第一原発事故のニュース報道をテレビで一日中見るのはやめた方が良いだろう。鬱(うつ)症状になる危険があり、気分が落ち込んで何もする気がなくなるなど、心理的な弊害が多いからである。

 ニュースは時間を決めて要約した報道を見るか、新聞やインターネットニュースを読んだ方が良いかもしれない。原発事故報道は放射能汚染という心理的な切迫感が強いショッキングな内容が多いので、あまり長く見続けるのは心理的負担が大き過ぎるようだ。

 過去の放射能被害のニュースは最悪の事件だけを誇張した報道が多かったせいか、放射能と聞いただけで強い精神的アレルギーを持つように我々の心理状態はマスコミによって操作されている。

 その為、被災地域から遠く、十分な安全が保障されている地域に住む人でも、原発事故報道を見ているうちに放射能への恐怖心や事故被害に対する絶望から鬱(うつ)症状を発症する人がいるようだ。

 確かに放射能汚染は深刻な問題だが、マスコミ報道のセンセーショナリズムに騙されてはいけないだろう。事故が起こった地域は日本の国土面積から考えれば点に過ぎず、放射能汚染地域も小さな円内に過ぎない。

 今後、数十年に渡って放射能汚染が続くとしても、それが影響する範囲は福島第一原発から100km圏内に過ぎず、日本の大部分は無事に生活出来るのである。

 むしろ、危険なのはデマや誤報による社会的影響であり、現在も誤解された情報が原因で不必要な損害が出ているようである。放射能汚染地域のブランドイメージが地に堕ちた結果、産品の多くが無駄に捨てられようとしている。

 今後も放射能レベルが高い状況が続く地域が残るだろうし、その被害額や補償額は莫大なものになるだろうが、原発事故を起こした米国、ロシアでも原発を放棄してはおらず、むしろ、その後も電力を原発に依存する傾向が強まっているようだ。日本も同じ道を歩む公算が大きいだろう。

 原発が悪いのではなく、安全基準が古く、老朽化が進んだ旧式な原発を使い続けた電力会社の責任だという指摘が正しいのかもしれないが、今後、老朽化した原発を廃炉にし、新規の原発に立て替えるとしても、原発への不信は強く人々の心に残り続けるだろう。

 福島第一原発事故が原因で発電再開が出来ない老朽化した原発が停止状態の為に、東京周辺の電力事情は最悪となり、計画停電を続けざるを得ない状況下にある。今年の夏が猛暑になれば電力の供給能力は決定的に不足し、大規模停電を引き起こしかねない状況だ。

 津波→原発事故→大停電という連鎖災害が発生しているわけだが、電力事情の安定が優先されざるを得ず、同型の原発を止めずに使い続けるしかなかったチェルノブイリ原発事故の時と同じ結末になるだろうと思う。

 現在は火力発電所を復興して電力供給をまかなう方針で進んでいるようだが、それだけでは不十分だろうから、結局は休止中の原発も使わざるを得ないだろうと思う。節電だけで危機を乗り切れる可能性は少ないのではないだろうか。

 福島第一原発事故で原発安全神話が完全に崩壊したのは間違いない。しかし、原発を捨てて全ての電力を新エネルギーでまかなうには何十年もかかるだろう。その間、原発事故への不安から鬱(うつ)状態が続くのでは、社会全体が崩壊してしまうかもしれない。

 原発事故後遺症とでも呼ぶべき心理的抑圧感から脱する以外に、現在の危機を乗り越える方法は無いのではなかろうか。



                                   <NOBUAKI>