<太陽系の謎>

太陽系の謎


 これから書くSFじみた話は信じないで聞き流して貰いたいが、太陽系の惑星と他の恒星を公転する系外惑星の違いを考えているうちに思い浮かんだ事である。

 SF映画に良く出て来るパターンだが、銀河系に君臨する大帝国があり、光速度を超える宇宙飛行に成功していて、宇宙兵器を使った宇宙戦争が常に起こっており、巨大な惑星や衛星、果ては銀河まで人工的に作り出すほどの高度な技術力を持つ文明が銀河系を支配しているという話が多い。

 そういう漫画じみた荒唐無稽な話を信じるわけではないが、もし、太陽系が生まれる以前に高度な文明が銀河系に存在していて、銀河系を支配していたと考えてみよう。

 もちろん、そんな馬鹿げた話が実際にあるわけがないのだが、もし、そんな銀河文明が仮に存在したとして、恒星の老化などが原因で文明が滅亡する日が来た時に文明の遺産を残そうとしたら、何を作ろうとするだろうか。

 人類の歴史を考えても、栄耀栄華を極めた文明は世界中から集めた珍しい文明の遺産を残しているが、彼らも同じ事をするのではないかと思うのである。

 現在の我々が星を人工的に作り出す技術力を持っていたり、遠くにある星々を運んで来る技術力を持っていたとしたら、過去の文明の歴史と同様に珍しい星をたくさん集めて人工的な惑星系や銀河を作ろうとするだろう。

 珍しい恒星を中心に据え、珍しい惑星や衛星を並べて、一つとして同じ物を置こうとはしないに違いない。惑星系そのものが博物館のような世界を構築するだろうと思う。

 もちろん、生物も珍しいものを銀河系全体から集めて来て惑星に移植するだろう。全てを人工的に作り出したユートピア的な惑星系にするに違いないだろう。

 太陽系が、そういう夢のような惑星系だったら、SF映画に出て来るような魅惑の星々に満ちた世界になっていただろうが、実際の太陽系は、もちろん、そんなユートピアではなく、自然にしか生まれない惑星系のはずなのである。

 ところが、系外惑星として観測された惑星のデータを見ていると、太陽系との違いの大きさに驚かされる。惑星の大きさと並ぶ順番が違っているだけではない。恒星と惑星の距離、惑星の規模など、太陽系との違いが甚だしいものばかりである。共通しているのは恒星が太陽と同じく、惑星が出来る条件となる金属過剰星である例が多いことぐらいだろう。

 系外惑星のリストを調べてから、逆に太陽系の惑星を考えてみると、他の恒星の惑星を調べて珍しい惑星だけを選んで太陽系に並べたような印象を受けるのである。

 系外惑星は太陽系の惑星とは違って、異色の惑星ばかりが並んでいるわけではない。木星や土星のような惑星が一つだけしかなかったり、同じく、天王星や海王星のような惑星が一つしかない恒星も多くある。

 太陽系の惑星で自転軸が横倒しで公転しているのは天王星だけだが、他の恒星では全部の惑星が自転軸が横倒しになっている例もあるという。

 系外惑星は一つの法則性で決まっている惑星が多いようだが、太陽系の惑星は一つ一つが大きく違っているものばかりで、地球のように過去と現在で惑星生成理論が変わっている例も少なくない。

 もちろん、太陽系が人工物であるはずがないし、銀河系から運んで来た惑星や衛星で出来ているはずもないのだが、何か不自然さを感じるのである。

 1.多くの系外惑星では太陽のすぐ近くに木星や海王星ぐらいの大きさの巨大惑星があるのだが、太陽系には、それがない。→ホット・ジュピター

 2.多くの系外惑星では木星ぐらいの大きさの惑星は地球軌道ぐらいの位置にあるのだが、太陽系では、それがない。→HD 9446アンドロメダ座ウプシロン星

 3.多くの系外惑星では地球ぐらいの大きさの岩石質惑星は水星軌道の遥かに内側にあるのだが、太陽系では、それがない。→スーパーアース

 4.多くの系外惑星では惑星は内側から大きい順に外側に並んでいるのだが、太陽系では、それがない。→HR 8799かに座55番星グリーゼ581

 5.多くの系外惑星では地球のような岩石質の惑星が地球軌道ぐらいの距離にあるのは、中性子星のような特殊な星なのだが、太陽系では平凡な恒星である太陽を公転している。→PSR B1257+12

 6.多くの系外惑星では恒星から少し遠ざかると歪な楕円軌道を公転している惑星が珍しくないのだが、太陽系の惑星は円軌道に近いものが多い。→エキセントリック・プラネット

 7.多くの系外惑星では太陽系に似ているものほど地球のような惑星が地球のような軌道を公転していないのだが、太陽系には、それがある。→おおぐま座47番星

 8.多くの系外惑星では恒星の自転軸と比べると惑星系の軌道傾斜角が大きいものが多く、軌道傾斜角が小さい惑星は恒星からの距離が極端に遠いものが多いのだが、太陽系の惑星は軌道傾斜角が小さいものばかりである。→HR 8799

 もちろん、「遥かな昔、銀河系のどこかで・・・」というような話が実際にあったはずがないのだが、系外惑星のデータを見ていると、太陽系はごくありふれた自然現象で出来たものと考えるには出来過ぎのように思える。

 銀河系に太陽系のような惑星系が他に存在しないのであれば、遠い将来、人類が銀河系を支配する日が来るとしたら、必ず、太陽系そっくりの惑星系を人工的に作ろうとするだろう。

 なぜ、こういうことを考えるのかと言えば、太陽系の惑星や衛星の中で惑星と衛星の距離が歴史的に大きく変化し続けている天体は地球と月、海王星とトリトンの2つだけだが、トリトンは逆行衛星だから海王星に落下する運命なのであり、順行衛星だったら軌道が安定していたはずなのである。

 地球が生まれた時には月との距離がほとんど変化しない均衡状態で安定するのが最も自然なはずだが、そうであれば、月は地球の静止衛星軌道を公転しているはずなのである。

 ところが、月が地球の静止衛星軌道を回り続けていたら、地球は日食が頻繁に起こっていて、現在のような温暖な気候ではなく、寒暖の差が激しい惑星になっていた可能性が高い。

 地球と同じジャイアントインパクトで生まれたと考えられている天王星の衛星群や冥王星の衛星カロンは軌道が安定しており、衛星との距離が変化していない。同じ自然現象で生まれたはずなのに、地球と月だけが距離が遠ざかり続けている不思議な天体なのである。

 月は木星の衛星イオと同じく、ナトリウムの希薄な大気を持っており、クレーターの位置関係が衛星イオの火口の位置に酷似しているとも言われる。現在では定説となっていたジャアントインパクト説にも、さまざまな疑問の声が出ている。

 →月で採取した物質から水を検出 定説に疑問の目も

 系外惑星のように地球が木星ぐらいの大きさの惑星だったら、月は地球から遠ざかることなく、安定した軌道を公転していただろう。逆に月が現在の軌道で安定する大きさだとしたら、小惑星ぐらいの大きさでしかないはずである。

 SFじみた話になるが、月は木星のような巨大惑星の周囲で誕生し、その頃はイオのような衛星だったものが、巨大惑星がガスのほとんど全てを失って小さくなり、地球の大きさに近づくに連れて軌道が変わり、地球から遠ざかり始めたとでも考えないと説明がつかないようだ。

 このように、太陽系は銀河系の中でも珍しい惑星ばかりを集めて来た博物館の展示場のような惑星系なのである。

 SFの話は、このくらいにするが、我々がいる太陽系は銀河系の星々の中では珍しい部類に入る惑星系なのかもしれない。もし、絶対にありえないほど珍しいのであれば、人工的に作られた可能性を疑わなければならないだろうが、仮に、そうだとしたら、現在の我々を取り巻く宇宙技術が遅れている21世紀の平凡な状況も真実ではないのかもしれない。

 →太陽系外惑星
 →太陽系外惑星の一覧

 <追記>

 多くの系外惑星は灼熱の巨大惑星があって、その外側に同じぐらいの大きさの比較的小さな惑星が2つ並び、さらに、その外側に巨大惑星があるという形になっており、惑星が恒星に異常に近い軌道を公転している例が少なくない。

 ところが、太陽系では小さな水星の外側に金星と地球という同じぐらいの大きさの惑星が並び、さらに、その外側に小さな火星が並ぶという、全く逆の並び方になっていて、こういう惑星系は他に見つかっていない。惑星の軌道も太陽から離れていて、惑星に着陸出来ないほど太陽に近い惑星は存在しない。

 惑星開発やテラフォーミングなどの夢を語る人がいるが、系外惑星では絶対に不可能なものが太陽系で可能なのはなぜだろうか。宇宙文明が始まるのが最初から想定されていたような錯覚を覚えるほど、太陽系は出来過ぎているのである。



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