<地球外文明からの電波は届いていないか>

地球外文明からの電波は届いていないか


 地球外文明からの通信電波が地球に届いているという立場の天文学者が書いた専門書を読んだ事があるが、自然現象ではないと考えられる電波は少なくないのだという。しかし、その多くは自然現象としての解釈だけが考えられていて、人為的なものという解釈が加えられる事はないようだ。

 地球外文明からの通信電波が銀河系内に一つもなく、地球だけが唯一の電波発信源だとしたら、大きな矛盾にぶつかるという。地球外知的生命がいる惑星が少ないとか、文明の数が少ないとか、そういう解決策が見つかる問題ではない。

 たとえば、地球が今後、数百年間に渡って電波通信を継続し、宇宙に電波を送り続けた後、自滅的な戦争を起こして滅亡したとしてみよう。それで地球文明が終わったとしても、電波は宇宙を飛び続けるわけであり、1万年後に別の文明が銀河系のどこかで電波通信の受信を始めたら、地球からの電波は1万光年以内の星々に届いているだけではなく、恒星団や重力源によって電波が曲げられて、さまざまな方向から地球の電波が届くようになり、微弱な電波を受信出来る技術があれば、銀河系に文明があるのは比較的容易にわかるはずなのである。

 地球以外に電波通信をおこなっていた文明が過去に存在していたのであれば、地球外文明の探索を始めた初期の段階で、いくつも通信電波が見つかったはずであり、それが一つもないのであれば、銀河系には地球以外に電波通信をおこなっている文明が過去にも現在にも一つも存在しないのが真実だという事になる。

 SF映画などで異文明の遺跡が惑星上で見つかる話があるが、そういう遺跡が見つかるのであれば、過去に宇宙に向けて発信された通信電波が現在も銀河系内を飛び交っている事実がなければ説明出来ない。

 これが事実だとすると、銀河系に存在する全ての星に文明がないだけでなく、銀河系に過去に衝突した150に達する矮小銀河のどれにも文明がなかった事になり、地球だけが唯一文明がある星だという事になる。

 つまり銀河系最初の文明だけでなく、局部銀河団最初の文明が地球文明だという事になるわけだが、浜辺の砂粒の数よりも多いと言われる星の数があっても、地球だけにしか文明がないというのは確率的に考えにくい話なのである。

 どんなに銀河系の文明が少なくても、2つ以上文明がある惑星が存在し、その一つが地球だと考えるのが確率的に高いのである。

 文明がある星が地球だけだとすると、地球から通信電波が遠くに届くに連れて環境汚染のような現象が始まっている事になる。銀河系に新しい文明が生まれると必ず地球からの電波を受信して解読する必要に迫られるわけであり、言わば、地球が銀河系内での通信電波の共通規格を作っている事になる。

 これが銀河系内で今後生まれる文明の全てに影響を与えるわけで、地球の通信技術が銀河系の全ての文明の技術的な方向性を決めてしまう結果になる。インターネットで起こっているような事が銀河系内で起こるわけである。

 銀河系内に地球以外に電波通信技術を持つ文明が存在しないのであれば、今後の銀河系は地球文明によって技術的な多くの問題が決められてしまい、他の文明が生まれても地球で決まっている電波通信の規格を使わなければ、宇宙から情報を得る事が出来ないことになる。

 もちろん、地球外文明からの電波通信が受信されたら、全く逆の立場になり、地球の通信技術を地球外文明の規格に合わせて決めなければならず、地球外文明からの通信情報によって、今後の地球文明の技術的方向性も自然と決められてしまう結果になる。

 地球外文明からの通信情報と言っても、生物的な本能や文化に起因する情報が大半だろうが、技術的な情報も含まれているだろう。

 もっとも、地球外文明からの電波の受信と解読に成功した時点でインターネットがもたらした問題が宇宙規模で地球にも影響する結果になるだろう。地球外文明に対する誤解や偏見も生まれるだろうし、良い事ばかりではないかもしれない。

 インターネットが始まってからマスコミ不信が増長されたように、地球外文明からの電波が受信されて解読され、地球外文明に関して詳しい事がわかるようになったら、地球文明が実現出来ない問題に疑問を感じる人が増え、不満が蓄積される結果を生むかもしれない。

 地球外文明が発見出来ない問題に疑問を感じるのは、地球と完全に同じではなく、僅かだけ違っている惑星は数え切れないほど存在する確率が大きいからである。こういう地球に近似する惑星の数が多いと考えられるのに、文明の数が銀河系に一つしかないというのは、地球と完全に同じでなければ文明が存在出来ないのを意味するわけであり、二酸化炭素が多かった過去と現在の地球を比べても、地球環境が大きく違っているのを考えれば、疑問点が多いように思う。

 過去には、「宇宙には地球以外に生命がいる惑星は存在しない。」と言い切っていた生物学者もいたくらいであり、地球が特殊な惑星であるという妄想が崩壊しないと地球外文明の発見に繋がらないのではないだろうか。

 もし、本当に地球が特殊な惑星で、地球以外に文明が存在しないのであれば、なぜ地球は銀河系に一つしかない特殊な惑星になったのかという疑問が出て来る。地球が銀河系に一つしかない特殊な惑星であるよりも、ある程度の数がある惑星グループの一つである方が遥かに自然な考え方なのである。

 こういう天動説的な地球文明論が地球外文明の発見を遅らせているのではないだろうか。



                                   <NOBUAKI>