<NHK「アメリカ発・世界金融危機」を見て>

NHK「アメリカ発・世界金融危機」を見て


 サブプライムローン、抱き合わせ販売の金融商品など、詐欺事件の様相が濃い米国金融恐慌の責任論は一切おこなわずに、金融商品の失敗論に終始した点が評価出来ない番組である。米国の詐欺商法が大恐慌を招いたと言うべきだろうサブプライムローン破綻に関して、金融工学の説明だけに終わっているのはいただけない。

 アジア通貨危機の時は、タイのバーツを暴落させなければ米国の年金受給者の受取額が半減すると主張するヘッジファンドが番組に登場していたが、世界金融恐慌では、さすがに弁解すべき理由がない為だろうか、正当性を主張をする人物は登場しなかったようである。

 要するに、世界中から米国に投機資金を集め過ぎ、コントロールが効かなくなって破綻したという論理のようだが、破綻は最初からわかっていたことであって、米国による金融詐欺事件であったと言うべきものである。

 日本が金融危機を脱した後も長年に渡って消費不況が続く後遺症に苦しんでいるのに、米国の金融危機が財政再建も消費不況も無く危機を脱する可能性は無いと言わざるを得ないが、その点に番組の中では全く触れていない。

 長かった米国中心の世界経済がやっと終わったのだけは確かなようである。基軸通貨もドルから他の通貨に移るのだろうが、経済の変革よりも政治の変革がうまく行くのだろうか。

 「日米は運命共同体。」と公言した政治家がいるが、国が滅亡するのも運命共同体だとは誰も考えていないだろうと思う。

 米国が大恐慌時代のような消費不況のどん底に落ちた場合に、それを救済しようとした政策の全てを保守派が骨抜きにし、最後は第二次世界大戦という形で軍需景気によって経済復興する結果になったのは歴史上の事実だが、すでに、イラク戦争の泥沼で予算を使い果たしている米国が金融恐慌を脱出出来るだけの資金的余裕があるとは考えにくいだろう。

 米国の信用収縮で石油価格も急落しており、ガソリンの無駄遣いで有名な大型車を作り続けているGMを始めとする自動車メーカーは倒産の危機に直面している。日本も今後どうなるか、わかったものではないが、産業構造が変わるだけという冷静な見方が必要なのかもしれない。

 もっとも、現在の日本は政府の財政再建で地方経済が疲弊し、ワーキングプアなどの雇用問題が深刻化している。これに世界恐慌による消費不況が加わっても大丈夫なのだろうか。

 番組では言わなかったが、これから東海・中南海大地震という最悪の自然災害を受けた時の為の対策費も必要であり、世界恐慌で経済が疲弊し、深刻な消費不況が続いた後で、さらに、東海・中南海大地震で太平洋岸の産業インフラが壊滅するというシナリオも覚悟しなければならない。

 金融恐慌を考える時に、災害対策費をギャンブルに投入して全て失ったような絶望感を感じるのだが、巨大地震の被害は今後も続くはずであり、世界恐慌だけで慌てていてはいけないのだが、何か仕組まれた罠に陥っているような気がするのは、なぜなのだろうか。



                                   <NOBUAKI>