<火星で生命発見か?>

火星で生命発見か?


 また、空騒ぎで無ければ良いが、火星で生命らしき物体を探査機の顕微鏡が撮影したらしい。おそらく、球状か、棒状の半透明な微粒子が見えたのだろうが、生命でなくても、そういう物質が見つかることがあるので、何とも言えない。生命の化石である可能性もあるし、詳しい調査結果の報告が待たれる。

 →火星に生命存在の可能性?「NASA近く発表」と米専門誌
 →火星に生命住めるかも、NASAが土を分析 米誌報道

 どうやら、火星生命そのものの発見ではないようだが、生命が過去に存在したことを示す間接的な証拠が見つかったようである。

 探査機の観測結果が間違いなければ、人類はついに地球外生命を発見したことになるが、火星という、あまりにも近過ぎる惑星での発見だけに、今後の調査結果次第では生命進化の常識が覆される可能性もある。

 ただ、火星上で発見されたから火星の生命だと断定出来るのかと言うと、必ずしもそう言えない面がある。

 たとえば、良く言われる探査機の検疫漏れが原因で、消毒が不十分だった為に、火星に着陸した後で地球の微生物で汚染されていた探査機の部品に付着した微生物を発見して誤認したというお粗末なものである可能性である。

 しかし、これは厳密を極めるNASAの防疫体制を信じるならばありえないことだし、地球上の生命が長期間の宇宙飛行で真空中に晒されながら、それに耐えて火星上で繁殖した可能性はほとんどないと考えて良いだろう。

 それでは、正真正銘の火星の生命である可能性だが、これはあり得ることではある。火星に生命がいても不思議ではないと主張する科学者は少なくないし、微生物のような原始的な生命ならば、火星の地表のごく浅い土壌中に存在しても否定する根拠は無いからである。

 ただし、火星で発見された生命が本当に火星の生命であるかどうかは、DNA鑑定などの詳細な分析をおこなわなければわからないだろう。大昔に地球上の生命が小惑星の衝突で弾き飛ばされた岩石中に混じって、火星に飛来した可能性を指摘する科学者もいるし、DNAの多くが地球の生命と酷似していた場合は、ある時期から火星で生存するようになった地球の生命だと判断される可能性もある。逆に、火星の生命が地球に飛来して進化した可能性もある。

 もっとも、そうした邪推を全て清算して考えるならば、火星上での生命発見は、地球外生命がごく近くの惑星でも発見された以上、宇宙のどこにでも地球外生命が存在するのだという仮説が真実味を帯びることになるだろう。

 地球外生命がごくありふれたものであるならば、地球外知的生命や地球外文明も、ごくありふれたものであるはずである。火星生命の発見は、地球外生命を一度で良いから見たいと懇願しながら果せなかった多くの人々の夢が実現したのを意味しているし、それが真実であるならば、火星生命という地球外生命を地球に持ち込んで研究する場合の危険性や倫理上の問題など、多くの科学的、哲学的、倫理的な大問題を国際的に協議しなければならなくなるだろう。

 火星への有人探査飛行も再検討を余儀なくされると思う。火星生命に危険性が無いのかどうかが不明である以上、むやみに宇宙飛行士を送り込んで生物感染を引き起こした場合には、厄介な問題になるだろうし、今後、宇宙開発を進める上で、地球外生物感染という大きな問題が出て来るだろう。

 それにしても、僅か数センチという浅い地表から生命が検出されるのであれば、地下深くには、比較的大きな生命や生命の化石が埋まっている可能性もある。地球で言うならば、先カンブリア期に生存していた生物が火星の地下に化石として眠っている可能性も出て来るし、火星に対する評価を大きく変える大発見だと思う。

 火星が生命に満ち溢れた惑星である可能性もあり、地球と火星で生命が発見されるのならば、太陽系の他の天体も生命がいてもおかしくないことになり、木星の衛星のイオ、エウロパなどの液体の水があると考えられている天体でも生命が発見される可能性が出て来るだろう。

 火星生命の発見で地球外生命が現実に存在するのが証明されたのであれば、銀河系の他の星に生命がいるのは、むしろ当たり前のことになるだろう。

 もっとも、最近の探査機の調査で、火星は予想されている以上に活動的な惑星であり、メタンやホルムアルデヒドが大気中から検出されたり、火山の噴火や氷河の移動などが数百万年以内に起こっていた可能性が指摘されているなど、火山活動を生命活動と勘違いしている可能性が捨て切れない。

 火星に生命がいる可能性はあるが、火山活動による有機物の発生を誤認している可能性もあり、今後の調査が待たれるだろう。



                                   <NOBUAKI>