<硫化水素という毒ガスで自殺する人たち>

硫化水素という毒ガスで自殺する人たち


 硫化水素による自殺者が急増しているそうである。風呂場に水を張って簡単に化学反応を起こして中毒死出来るからだろうが、硫化水素による死は決して楽な死に方ではない。タブン、サリン、ソマンのような神経ガスで自殺する人はほとんどいないだろうが、即効的な死という意味では、神経ガスの方が硫化水素よりも死に至る時間は短い。硫化水素を吸って死ぬのは、かなりの苦痛を伴うはずである。

 地下鉄サリン事件以降、毒ガスに対してアレルギーを持つ人が多いのかと思っていたら、毒ガスによる死を選ぶ人が増えているというのは、皮肉に思える。

 すでに日本全国で硫化水素による自殺者が出ているのだそうだ。誰かが硫化水素による自殺をそそのかしているようにも見えるが、マスコミ報道が火に油を注いでいる一面も否定出来ない。こういう自殺事件には注意が必要だろう。

 風呂場で、どういう化学物質を混ぜ合わせれば硫化水素が発生するかなどは書かない。硫化水素に限らず、塩素ガスや神経ガスに酷似した化学物質が生成する洗剤や漂白剤などもあるだけに、うっかり混ぜ合わせると大変なことになる。

 硫化水素を発生させれば必ず死ねるわけでもない。死者数の背後には数十倍の未遂事件があり、その多くは長く後遺症に苦しむ深刻な実態があるのである。

 こういう事件が多発すると、一番困るのは入浴剤や洗剤を生産しているメーカーであり、硫化水素が発生しないものを作れなどという無理な要求を政府から突きつけられる懸念もある。

 硫化水素に限らず、毒ガス自殺は決して格好の良いものではない。死ぬことが出来ないまま、意識不明の植物状態に陥って家族に迷惑をかける場合が少なくないのである。一人の自殺未遂事件が家族全員の一家心中に繋がる危険さえある。

 自殺は未遂に終わっている例が多いのだという事実をマスコミは報道すべきだと思う。自殺者の数だけしか報道しないと、自殺未遂で苦しんでいる人達の実態がわからないまま、悪しきブームに便乗する若者が続発する結果を生みかねない。



                                   <NOBUAKI>