<NHK特集「新型インフルエンザの恐怖」を見て>

NHK特集「新型インフルエンザの恐怖」を見て


 NHK特集で2回に渡って放送された「新型インフルエンザの恐怖」は現状の医療体制の不備については指摘通りだろうが、鳥インフルエンザが人間に感染する時点でどういう条件が揃わなければならないかが、まだ不明な点が多い。鳥インフルエンザと人インフルエンザの遺伝子組み換えが起こった時に、すぐに1億人を超える犠牲者を出す感染爆発に繋がるかどうかも、まだ詳しくわかっていないように思う。

 数年前に、中国で新型肺炎SARSの人への感染が起こった時に、患者の一人が日本に観光旅行に来て、多くの日本人と出会い、宿泊もして、帰郷してから新型肺炎SARSを発症して死亡したにも関わらず、その後、日本人で発病した人が一人もいなかったという実例があるが、この原因については、良くわかっていない。

 わかっていないのは、これだけではなく、当時、中国にいた日本人の中にも新型肺炎SARSに感染して発病した人が出ていないのである。また、日本にいる中国人にも発病した人が出ていない。

 新型肺炎SARSと新型インフルエンザでは違うのかもしれないが、感染の恐怖が伝えられたにも関わらず、集団感染に繋がらなかった点には注意が必要だと思うのである。

 確かに、現在の日本の救急医療体制では、病院への患者の搬送を断り続けているほど深刻な現状であるのは否定しようがないし、もし、鳥インフルエンザの感染爆発が日本で起これば、番組の内容のように、たちまち医療体制が破綻するのは間違いないだろう。

 もっとも、感染という条件が揃わないと起こらない現象に関しては、まだ良くわかっていないことが多いようである。中国で危うく感染爆発が起こりかけた事件の時に、日本では何も起こらなかったのは、おそらく、感染に関しての条件が揃っていなかったのが理由だろうが、それが明らかにならないと対策が十分に取れないのではないかと思う。

 インフルエンザという疾病に関しては、誰もが同じように発病するとは限らない。毎年のように、インフルエンザの流行が起こっているが、毎年、発病する人がいるわけではない。何年かに一度、インフルエンザのタイプが一致した時に免疫がうまく働かなくて発病する人がほとんどである。

 鳥インフルエンザの人への感染も同じなのかもしれないが、番組では、家族や親戚まで鳥インフルエンザに感染して死亡した例が報告されている。家族でも人によって免疫が異なるのに、死亡者が続出しているわけである。

 日本国内で数百万人に達する犠牲者が出るという予測も出ているが、WHOの予測には桁違いの誤差があるのを覚悟して置かなければならない。警告通りに世界中で1億人を超える犠牲者が出るのかもしれないし、その100分の1や1000分の1という低い数字に終わるかもしれないのである。

 戦争や大災害などの発生によって、救急医療体制が崩壊している時に新型インフルエンザが流行すると大量死に繋がるのは過去にも事例がある。急激に症状が悪化する病気の発生に対しての即応性が無い医療体制に問題があるからである。

 予測されている新型インフルエンザの発生が起こった場合には、従来のインフルエンザの免疫が働かない人が多い為に死亡するケースが出るようだが、過去に何度かインフルエンザの流行で大量死が起こるという報道がされたのに、犠牲者が僅かだった例が何度も繰り返されているのである。

 確かに、甘く見てはいけない病気だろうが、過敏な反応も禁物ではないだろうか。鳥インフルエンザが過剰に報道される理由として、新型治療薬タミフルの普及が背後にあるのではないかと勘ぐられる気がしないでもない。



                                   <NOBUAKI>