<人類は地球外文明と共存出来ないのだろうか>

人類は地球外文明と共存出来ないのだろうか


 映画「エイリアン」を観た人は多いだろう。あの映画のように、地球外知的生物と人類が出会っても、互いに喰い争う関係しか築けず、文明の相互理解など出来ないのだろうか。確かに、一方の文明が他方の文明よりも遥かに高度な場合には、劣っている文明の生物は家畜化される危険が高い。地球外文明と出会っていない現状は、そういう意味では幸福なのかもしれないが、本当にそうなのだろうか。

 現在では、チンパンジーのような類人猿は、教育次第では人類よりも劣るにしても文明を理解させることが出来るのがわかって来ている。不器用ではあるにしても、コンピュータを操作したり、道具を使ったりするチンパンジーも実在する。

 しかし、チンパンジーは人類と対等ではなく、実験動物扱いしか受けていない。犬や猫などと同じ家畜である。チンパンジーが文明を持つようになったとしても、人類との関係が対等になることは無いだろう。チンパンジーが人類を超えるのは、人類が絶滅した後になるに違いない。

 地球外文明と人類が出会うことがあったとしたら、やはり、同じ問題が生じるだろうと言われている。人類がどんなに努力しても、地球外知的生物が人類を遥かに凌ぐ脳容積と知性を持つ生物であり、人類の理解を絶した文明を持っていたら、人類がどんなに努力しても彼らが絶滅するまで家畜扱いを受ける結果になるだろう。

 地球外文明に関して、こういう立場の人は地球外文明と出会うのは決して幸福ではなく、むしろ不幸なことであり、自分を家畜化するだけの愚かな行為でしかなく、地球外文明が仮に存在しても、それを知らないで生きている方が遥かに幸福なのだということになる。

 確かに、これには一理ある。たとえば、地球外文明が電波通信を使って武器の製造方法を地球へ送って来ていたとしてみよう。その信号を解読した人類が武器を組み立てて使用したと考えてみよう。

 その武器が銃火器程度の破壊力しかないものだったら、大して問題にはならないだろうが、地球を破壊するほどの破壊力を持つ兵器だったら、人類は絶滅する結果になるかもしれない。

 地球外文明が武器の製造方法を教えるわけがないと言う人がいるだろうが、人類が高度な文明に発展したのは武器技術の開発と不可分ではないから、高度な文明になるほど武器技術も高度なものになるだろうし、他の惑星の文明を発展させるには、武器を与えるのが最も効果的なわけで、通信で送って来るのならば、武器技術を教えるはずだという考え方も出来るのである。

 仮に、今、地球外文明からの電波通信の受信に成功し、何十年もの時間をかけて解読した結果、ある種の武器と思われる技術を手に入れた国があったとしてみよう。その国が巨費を投じて、その武器の開発を始め、それに成功したとしてみよう。

 その武器が核兵器を上回る破壊力を持つ物であったとしたら、それを実証出来れば、安全保障面で優位な立場に立てるだけでなく、場合によっては、世界征服も不可能ではなくなるだろう。

 逆の結論になるが、地球外文明と出会わないで終わるのは、決して幸福ではないかもしれない。他の国が地球外文明からの通信電波の受信と解読に成功し、地球外文明の技術で作られた武器を手に入れる結果になったら、世界の覇権は、その国が握る結果になるだろう。

 超大国と敵対関係にある国が地球外文明からの電波通信の解読に成功し、武器を手に入れ、超大国との戦争に勝利するというSF映画は面白いかもしれないが、現実問題となったら、それほど単純ではないだろうと思う。

 地球外生物と出会うと互いに喰い合いになる。どちらかが家畜になる。そういう次元の低い話は笑い話としては良いかもしれないが、現実問題として考える限り、直接、地球外生物と出会う可能性はほとんどなく、地球外文明から送られた信号を受信し、解読して、情報を得る以外に方法はないだろうと思う。

 もし、他の惑星上の景観と知的生物の姿が映った1枚の写真が解析出来たら、それだけでも大変な成果だと言えるだろうし、多くの人が見たいと思うのは、むしろ、そういう平凡な写真だろう。

 地球外文明が存在するか、しないかを判断する簡単な方法がある。もし、地球外文明が存在しないのだったら、宇宙には知的生物が存在出来ない環境条件があるはずである。それは地球にも適用出来るはずだから、地球にも知的生物は存在出来ないことになる。

 地球に人類という知的生物が存在する以上、同じような環境条件は宇宙に数多くあるはずだから、知的生物や文明も数多くあるはずなのである。

 ところが、それが現在のところ、1つも見つかっていない。今は、見つけることに世界中が躍起になっているが、地球外文明が見つかったら、たぶん、その文明について詳しくわかるに連れて、今まで人類が持っていた文明に対する虚栄心が失われて行き、自分達の文明の本当の地位がわかるようになるだろう。それがもたらすものは大きいと思うのである。



                                   <NOBUAKI>