<人種差別と人権問題の壁>

人種差別と人権問題の壁


 ノーベル賞受賞者でも失言をすることはあるらしい。人種差別と捉えられる黒人蔑視の発言をしたことが問題となったようである。科学者としての発言だから、根拠が無いわけではないのだろうが、人権問題を刺激する答弁は良い結果を生まないようだ。だが、考えてみると、確かに、人種には能力に違いがあるのは事実である。しかし、それが根拠が無い人種差別を正当化するほど大きな違いとは言えないだろう。

 白人と黒人、そして我々黄色人種の間で大きな違いがあると言えば、汗腺の数だと言われている。つまり、皮膚の汗腺の数の多さを比べると、黒人、黄色人種、白人の順になる。

 これは、黒人が陸上競技で圧倒的に強い理由とされている。同時に、水泳で白人が強いのも同じ理由だと言われている。皮膚の汗腺が多いか、少ないかで能力に違いが出るというものだが、オリンピックで必ずしも陸上競技が黒人の優勝が続くとは限らないし、水泳では黄色人種が優勝することもある。人種の違いで決定的に差が出るというわけではないようである。

 知能に関しても同じであり、白人優越主義者は知能に関しては遺伝的に白人が他民族よりも優勢であるかのように主張するが、これも科学的な根拠は全く無いわけであり、黒人にも知能指数が異常に高い人はいるし、それは我々黄色人種でも同じである。

 文化的な違いが優劣に繋がるというのも偏見に過ぎず、日本古来の文化でも最先端の科学研究で応用されて大きな成果を挙げたものがあるし、それは他のアジア諸国やアフリカ諸国に置いても同じように注目を集めているものがある。

 そもそも人類はアフリカで発生したのであって、最初の文明もアフリカで始まったと考えられている。当然、最初の文明人は黒人だったはずである。その頃の文明は今とはずいぶん違っていたが、農業や牧畜で生計を立てて、都市を築いて生活していた点など、現在の文明と共通する部分も多い。

 白人が優越感を持つようになったのは、産業革命が始まって、市場と生産力を確保する目的から、植民地主義の下で異民族を労働力として使い始めた頃からであり、それも政治的、経済的、軍事的に戦略上、異民族に劣等感を与えて服従させる必要から生じた民族政策がもたらしたものであり、それが現在も尾を引いているのに過ぎないのである。

 白人優越主義者の考えでは、我々日本人も劣等民族の一人に過ぎず、日本人を指差して「味の素以外に発明したものがない。」と罵った時代から、日本人に対する見方は大して変わっていない。

 今では、日本で発明され、開発され、生産されていない製品を探す方が難しいくらいの時代になっているが、それでも、彼らの価値観が大きく変わることは無いだろうと思う。

 それは人種差別を作り出すことで、白人中心の産業社会を作り上げて成功したという政治上の理由であり、人種差別が崩壊すれば、白人中心の産業社会も崩壊するという恐怖感が根底にある。

 だから、現在、日本の文化や発明が世界に大きな影響力を及ぼす時代になっても、彼らはその事実を認めないわけである。これは中国人やインド人が世界経済を動かす時代になっても、アフリカ人が世界経済を動かす時代になっても、彼らの考えが変わることはないだろうと思う。

 経済は西へ動いて行く。米国から日本、日本から中国、中国からインド、インドから中東という具合に、経済は西へ動き、経済大国は順番に移り変わって行くわけである。いつかはアフリカの国々が経済大国になる日も来るだろうと思うが、その頃になっても、彼らが価値観を変えることはないだろう。

 これは白人だけが選民思想を持っているからではない。我々日本人もまた、これから中国が世界有数の経済大国になり、国際政治で大きな影響力を行使する時代になっても、中国人に対する見方が大きく変わることがないのと同じである。それは、インドが経済大国になっても同じだろうし、アフリカで経済大国が生まれても同じだろうと思う。

 そうなる理由は、政治家とマスコミによる国民に対する政治的な意識操作がどこの国でもおこなわれているからであり、白人優越主義者も根拠の無い優越感を持つように政府やマスコミから騙されているだけの話である。

 それは我々が外国に対して根拠の無い偏見を持つようになっているのと同じであり、マスコミが流す情報が政治的な操作を受けていることを知らない為に起こっていると言って良いだろうと思う。

 ノーベル賞を受賞した科学者もまた、そういう環境で育ったのは間違いないだろうと思う。彼を人種差別主義者だと批判する前に、我々が外国人に対して持っている偏見を考えてみるべきではないだろうか。黒人がユダヤ人に対して差別的な発言をする場合もあるように、どの民族でも自分の民族の血が最高であると信じていたいのが本音としてあるのだと思う。

 ただ、それが政治家達によって誇張され、煽られて、根拠の無い優越感に作り上げられているところが問題としてあるのだと思うのである。人種差別を個人の問題として非難するよりも、人種差別主義を作り上げ、偏見を量産している政府やマスメディアの政策と情報操作を糾弾すべきではないかと思う。



                                   <NOBUAKI>