<なぜ、地球外文明は発見出来ないのか>

なぜ、地球外文明は発見出来ないのか


 誰もいない無人島に住んでいたとしても、近くの海を大型客船や航空母艦が通ることはあるだろうし、大型旅客機が空を飛ぶこともある。衛星放送からの電波を受信してテレビを見ることも出来るだろうし、衛星携帯電話で外国の友人と話をしたり、インターネットにアクセスして利用することも出来るだろう。地球上にいる限り、外部との接触を完全に絶つことは難しい時代である。ところが、宇宙に眼を向けると、地球が生まれてから一度も他の星から来た者はいなかったと考えられており、他の星から電波が届いたことも無いというのが常識となっている。こんなことが、なぜ起こるのだろうか。

 地球上にある岩石の中には、宇宙起源の石(隕石)が少しだけ発見されている。それはほとんどが太陽系内の小天体の破片であり、地球軌道に近い軌道上を公転するアポロ天体と呼ばれている小惑星の破片である。

 だが、これ以外にも、彗星や惑星起源の隕石も少数ながら見つかっており、遠くの天体から届いた岩石が1つも無いわけではない。太陽系の隕石を調べて見ると、太陽から数百光年以内にある他の恒星が超新星爆発を起こした時に出来た物質が飛来したと考えられるものが含まれている場合も珍しくないのである。太陽系は宇宙に開かれた世界であり、他の星から何も来ないというのは、逆説的に言えば、珍しいことなのである。

 太陽系外に打ち上げられた惑星探査機のいくつかは、すでに他の恒星に向けて旅立っている。1億年ぐらいの時間をかければ、太陽の近くにある恒星のいくつかを通り過ぎると考えられている。地球から宇宙に向けて送られた電波は1億年もかかれば、銀河系内の恒星だけではなく、銀河系外に存在する数多くの銀河を通り過ぎるだろうが、逆に、他の恒星から地球に向けて送られた電波信号は1つも確認されていない。同様に、他の星から届いた探査機も1つも発見されていないのである。

 不思議に思うかもしれない。超新星爆発の破片だったら、遥か数百光年という星からのものでも太陽系に届いているのである。もちろん、電波や光でも遠くの恒星や銀河から届いたものは数多く見つかっている。それにも関わらず、人工的な物は1つも見つからないのである。

 地球以外に知的生命がいないのが、その原因だとすれば、我々がいるのはなぜなのかという疑問が生じる。むしろ、知性を持つ生物は宇宙に普遍的に存在しているから、地球にも知性を持つ人類がいるのだと考えるのが、最も合理的な考えのように思う。

 実は、太陽以外にも惑星を持つ恒星が数多くあるのだという、今では常識になっている考え方も、以前は否定されていた時代があったのである。惑星が無いから地球外文明も無いのだと言われたこともあったと言われる。現在のように、太陽系外の惑星が次から次へと発見されていて、その数が膨大なものになりつつあるのを見ても、地球外文明が全く無いという考え方は、かなり懐疑的に見ないといけないように思える。

 太陽以外にも惑星が数多く発見されるようになったのは、その当時の偏見に基づく考えを否定して恒星探査を始めるようになってからである。それまでは、惑星は恒星から遠く離れた軌道をまわる天体であり、恒星のすぐ近くに惑星があることは絶対に無いという考えが支配的であった。

 それが、恒星のすぐ近くに木星よりも大きな惑星が次々と発見されるようになって、偏見に基づく仮定が疑われるようになり、今では、恒星のすぐ近くにある惑星が重点的に捜索されるようになっている。他の恒星に惑星が見つからなかった最大の原因は、人間の偏見だったのである。

 地球外文明が見つからないのも同じことが原因だと考えて良いだろうと思う。地球外文明が恐ろしく近い場所にある恒星をまわる惑星で発見されても不思議ではないだろう。

 地球外文明が惑星上にしか無いのだという考えを疑う科学者もいる。木星よりも大きな惑星が地球と同じくらいの軌道を公転していて、その衛星が大気を持ち、潮汐加熱による火山活動もあれば、地球のような天体になっている可能性は考えられるからである。

 むしろ衛星上に生命圏が存在する方が確率的に多く、惑星上に生命圏が存在する例は少数派かもしれない。そうであれば、地球のような惑星を探すよりも、木星よりも大きな惑星のまわりにある衛星を探す方が早く生命がある天体を発見出来るかもしれないわけである。

 地球そっくりの軌道と大きさの惑星を探す観測計画は全てが失敗に終わっていて、現在は地球とは違う軌道と大きさの惑星を探す観測が続いている。地球とは違う天体を探すほど、発見が多く、その数も非常に多いのである。

 いつの日にか、宇宙のどこかに地球外文明が発見されるとしたら、それは地球とは似ても似つかない大きさと軌道を持つ天体に違いないだろう。恒星のすぐ近くの軌道上にあって、惑星ではなく衛星であり、惑星を公転する周期が一日であるという天体に知性を持つ生命が存在し、文明を持っていたとしても不思議ではないかもしれない。

 地球文明中心主義である我々の偏見は宇宙では通用しないのだろうと思う。地球外文明は必ず水素アルファー線という波長の電波を使うのだと勝手に決めつけた科学者がいるが、これも間違いかもしれない。実際に他の文明が使っている波長は地球人類が絶対に使わない波長かもしれないからである。

 電波や光を使った通信しかないのだという考えも偏見に過ぎないのかもしれない。他の文明は電波も光も使わず、地球文明ではありえない通信方法を使っているのかもしれない。

 探査機を飛ばして他の天体を調べるという方法を使っているのも、我々人類だけなのかもしれない。他の文明は探査機など飛ばさなくても、遠くにある天体上にある生命や文明の存在を知る技術を持っていて、地球に対しても、それを使って調べ尽くしているのかもしれないからである。

 人類が過去に地球外文明に出会った形跡が無いというのも、真実ではないのかもしれない。物質で出来た探査機や宇宙船を飛ばすのではなく、我々がコンピュータを使って仮想的な空間上に通信技術を通して送られて来る情報を元にした世界を構築出来るように、彼らから見れば、地球は通信技術を使って眼に見えない仮想的な機械を送って文明に影響を与えたり、知的生命に情報を与えたり出来る惑星の1つに過ぎないのかもしれないからである。

 コンピュータを理解出来ない猿にはインターネットがわからないように、技術レベルが異なる文明が使っている通信技術や再生技術を理解出来ない人類が地球外文明を発見出来ないのは、無理もないことかもしれない。

 地球外文明が発見出来ないのは、人類の偏見が原因だろうと思う。明らかに知性を持つ生命が起こしたと考えなければ説明出来ない事件や物理現象が起こった場合でも、科学者がわからないと言えば、それで終わってしまうのが現実なのである。それが何度も繰り返されても、理解出来ることを証明出来ない現象は研究対象とはならない。そういうことが宇宙では多いのではないだろうか。

 人類が打ち上げた探査機が他の文明に出会うことがあっても、彼らの理解を絶していれば、何もわからないまま終わってしまう可能性が大きい。地球外文明に送られた電波通信が文明の接触に成功しないのも同じ理由だろうと思う。

 宇宙にさまざまな文明を持つ天体が普遍的に存在しても、現在の物理理論に矛盾は生じない。しかし、地球以外に1つも文明が無いのだとしたら、大きな矛盾があることを認めなければならなくなる。つまり、宇宙のどこにある場所でも同じ物理法則が適用されるという仮説が間違っていないと、地球外文明が存在しない理由を説明出来ないからである。

 もし、宇宙のどこでも物理法則が同じだという仮説が正しい場合に、仮に宇宙全体で地球以外に知的生命や文明がある星が1つもないという確率がどのくらいかと言えば、銀河系内の恒星だけでも1000億個以上あると考えられているから、そのうちの500万個を調べて地球外文明が発見出来ない確率が宝くじで1等に当選する確率と同じだと考えるならば、銀河系内の全ての恒星を調べるのに2万回必要になるので、銀河系内だけで宝くじで1等に2万回連続して当選しなければならない確率になり、宇宙全体では1000億の銀河が存在すると考えられているから、その1000億倍の2000兆回連続当選しなければならない計算になる。

 つまり、この宇宙で地球だけに知的生命や文明が存在する確率は宝くじが2000兆回も連続して1等に当選するぐらい希少なことなのである。

 こんなことがあるとすれば、インチキをやらない限りは説明が難しいだろう。地球外文明が見つからないのも同じ理由で説明が難しいのである。

 そういう意味では、地球外文明が発見されないのは、太陽以外の恒星に惑星が発見されないのと同じくらい異常な出来事なのである。すでに数多くの惑星の発見が続いている以上、地球外文明が見つかっても何の不思議も無いだろう。



                                   <NOBUAKI>