<奇怪な殺人事件が多発するのはなぜか>

奇怪な殺人事件が多発するのはなぜか


 最近、女子短大生バラバラ殺人事件が起こったばかりの世田谷だが、異常な殺人事件が多いようである。世田谷では無いが、今度は福島県会津若松市で高校三年生が母親の首を切り落として警察に出頭し、腕は植木鉢に刺してあったという。どの街にも異常な事件が多い地域があるものだが、それにしても、江戸川乱歩が真っ青になるような殺人事件である。マスコミは報道しようとしないが、世田谷といい、会津若松市といい、こういう地域では何か異変が起こっているのだろうか。

 毎回、この種の猟奇殺人が起こる時にマスコミを通じて聞かされるのは、「成績優秀でスポーツ万能で性格は温厚で優れた学生です。こんな事件を起こすなんて考えられない。」という周囲の人達の言葉である。

 この言葉は人間の本質を語ってはいない。成績が優秀であるかどうかは、当人の性格には影響しないし、スポーツが万能であるかどうかも同じである。表面的には温厚であっても、内面的な部分を隠すのがうまいだけの人物もいるからである。

 また、こういう事件を起こしそうな人物は警戒すべきだとか、あらかじめ把握して置くべきだという意見も賛成出来ない一面がある。

 勉学に熱心でストレス過剰な環境に置かれることが多い優等生ほど、こういう奇怪な行動に走ることが意外に多いものなのである。成績が優秀でスポーツ万能で非の打ちどころがない人ほど、自分の内面的な葛藤を隠していることを忘れてはならないと思う。

 動物でもハイストレスに長時間晒されると、異常な行動に出ることがある。普段はおとなしく人など噛んだことがない犬が飼い主に襲いかかって噛み殺すことがあるのは、多くはストレスが溜まっていたことが原因なのである。

 母親がリーダー格であり、何事にも指導性を発揮する優秀な人であったことが、子供から殺害される原因になっていた可能性は否定出来ないように思うのである。

 同じような事件は洋の東西を問わず、どこの国でもあると言われる。米国でも連続殺人事件の犯人が母親を殺害した後で警察に出頭して来た事件が昔、起こっているが、この母親も性格が非常に厳格過ぎる人だったことがわかっている。

 子供にとって親がストレスの原因になっているのを親の側が気がついていないことは良くあることで、しばしば尊属殺人の原因となる。両親が子供に何も教えないで子供に悟らせるように教育していたら、子供が理解出来ずにいじめと考えるようになって殺害に及ぶ事件が起こったこともある。

 こういう親の心を子供が理解出来ない悲劇は古くからあることで、今に始まったことではないのだが、日本社会の西欧化が進むにつれて世代間でミスマッチを起こしている現実を思い知らされる感じがする。

 母親を殺害した少年が死体を使って異様な行動に出たのを精神分析学で説明するのは簡単かもしれない。フロイトの夢の分析で扱われる話に同じようなものがあるし、戦争などで死体が大量に路上に散乱しているのを見た子供がいたずら半分に同じような行動をおこなった実話もある。

 近親者ほど愛と憎悪の葛藤が大きいことは、最近の事件を見てもわかることだが、親子間のストレスの発散が難しい社会になっているのを痛感する。世田谷や会津若松に限らず、こういう事件が多いのは日本の縮図であることも一因だろうが、この種の事件が日本中で日常的に起こる日が来るのを危惧するものである。

 それにしても、受験勉強に関連した殺人事件が急激に増え始めたのは、教育環境の変化と関係があるのではないかと思う。こういう点に的を絞った報道を期待したいものである。



                                   <NOBUAKI>