<NHK特集「日本のこれから”いじめ”」の疑問点>

NHK特集「日本のこれから”いじめ”」の疑問点


 テレビでは、いじめ問題を扱った番組が多くなったが、その多くは社会問題として取り組んでいないし、報道するマスコミ自身の自己分析を交えた放送をおこなった放送局は一つもない。いじめ問題はマスコミにも責任があるのではないかという問いかけがあると、無言で黙殺するマスコミばかりである。NHK特集「日本のこれから”いじめ”」の場合も、この社会的視点での問いかけには何も答えていない。

 いじめ問題を問う場合に重要なことは、なぜ、今までに何度もいじめ問題が発覚し、自殺者まで出して置きながら、政府もマスコミも抜本的な対策を何も取らずに責任回避を続け、問題を悪化させ、深刻な事態になると、一時凌ぎの対応をおこなうだけで、問題の本質的な解決策を提示したり、責任問題を扱うようなことはしなかったのかということである。

 これが、いじめ問題の最も根深い暗部である社会的な責任回避と事実の黙殺という問題である。いじめ問題は加害者や被害者の問題ではない。それを解決しようとしないで放置する社会全体の問題なのである。

 いじめ問題を扱う場合は、まず最初に、今までに何度もいじめ問題が起こり、その解決の必要性が問われたにも関わらず、政府とマスコミが適切な対応をしなかったことが責められなければならないのではないだろうか。

 いじめ自殺した子供の親が「学校に殺された。」と訴えた話はずいぶん昔からである。あれから何十年が過ぎても、学校のお役所体質は何も変わらなかった。その結果が現在の教育崩壊である。政府もマスコミもこの問題にメスを入れて社会問題として扱おうとはせず、単なる事故・事件の報道として扱って来たのに過ぎない。

 日本で、なぜ、これほど深刻ないじめや自殺や殺人事件が相次ぐのかは、マスコミが真相をなかなか報道しようとしない、報道しても、重要な点は曖昧にして政府に責任の追及が及ばないようにしようとする体質を持っていることを明らかにしなければ、抜本的な解決は出来ないだろうと思う。

 そもそも学校の教師に生徒間トラブルの問題まで背負わせるというのは無理があると思うのである。生徒間でのいじめや暴力事件が起こった場合には、専門のカウンセラーが対応するべきであるし、必要ならばガードマンを学校に派遣することも必要だろう。教師は教育に専念すべきであって、生徒間トラブルに限らず、家庭問題まで教師に相談に来る親がいるというのは、本来おかしいのではないだろうか。

 いつの間にか、学校が育児相談所や病院の役割まで背負わされていて、教師が対応に苦慮しているというのが実情だろうと思う。分業化をしようとせず、何でも教師にまかせて来た学校側の対応に問題があるのである。

 教師の精神科病棟への入院者数が多い原因の多くは、こういう人間関係の問題を全て教師に背負わせて、過労に追い込んでいる文部科学省が一向に対応を変えようとしないことが大きいし、文部科学省自体が学校の実態を十分に把握していないのではないかという疑問もある。

 いつものことだが、本質的な問題が政府の怠慢である場合は、マスコミはそれに触れようとしたがらない。その為、マスコミの報道を見ても、問題の本質がわからず、実態が見えて来ないということになる。そして、問題の解決は全て個人の責任にされ、いじめる側が悪い、いじめられる側に問題があるという、すり替え論法が使われる。本来は学校がいじめへの対応をおこなわずに怠慢を繰り返した結果が自殺や暴力に発展したのであり、それを問わなければならないのにである。

 私は、いじめ問題に限らず、現在問題になっている事件の多くは報道している側のマスコミに多くの問題があると思う。単なる視聴者の不満に対するガス抜きとして作ったのならば、意味が無い番組と言うべきだろう。

 いじめ問題を考えるのならば、私が書いたイスラエル秘密捜査事件の真相を読んでみていただきたい。この事件はいじめと言うよりは国際謀略犯罪事件と考えるべきだが、マスコミや政府の対応はいじめ問題と同じであり、責任回避と事実隠蔽を繰り返して問題解決を先送りにし、状況を悪化させて問題を深刻化し、さらにマスコミへの不信を助長して、マスコミと政府の自滅に繋がりかねないところまで自らを追い込んでいく構図が見えて来るはずである。

 いじめ問題の解決は、我々が学校もマスコミも政府も全て信じなくなり、法的措置に訴える回数が増えて行くに連れて、徐々に解決への道筋が見えて来るだろうと思う。それは、過去に起こった多くの社会事件が世論の訴えでは解決されずに、長い裁判の末に解決に向かって徐々に改善されて行ったのを見れば明らかである。

 こういう社会構造を作ったことが、現在起こっている多くの社会事件を放置する結果を生んだのだと思う。最近になって、やっと和解された多くの社会事件が何十年も前に起こったものであり、いじめ問題もその点では何も変わるところがない。



                                   <NOBUAKI>