<不二家の消費期限切れ事件>

不二家の消費期限切れ事件


 雪印乳業の食中毒事件が起こった時は、牛乳で高度な加工食品リサイクルがおこなわれており、古い牛乳が出来ると処分せずに何度も再加工を続けて深刻な食中毒事件に発展したことがわかったが、この教訓が生かされずに、不二家も同じ事件を起こす寸前だったようである。生クリームや生菓子は消費期限が短いのはわかるが、原料から消費期限切れで使用していたというのには驚かされる。雪印の時は関連企業まで不祥事が続発してブランドイメージは地に落ちたが、不二家はどうなるのだろうか。

 食中毒は経験した者でないと、その苦しみの深刻さは理解出来ないだろう。私も一度だけだが、氷菓子で食中毒を起こし、死の瀬戸際まで行った事がある。あの時の苦痛は今も忘れることが出来ず、氷菓子を見ても食べる気がしない。これは雪印事件が起こった当時、牛乳を飲んで食中毒を起こした人達も同じだろうと思う。

 不二家の事件は、食中毒が起こる以前に事件が発覚したので大事に至らずに済んだが、食中毒事件を起こしていたら、雪印の二の舞だっただろう。食品衛生管理が厳しくなるばかりなのは、こうした不測の事態を起こさない為であると同時に、食品の長期保存技術が発達して、昔だったら、考えられないようなことを工場でおこなっていることに対する警戒があるのだろうと思う。

 実際、生クリームや生菓子は作ったその日のうちに食べた方が安全であり、長期間保存して流通するという現在の状況は、食品の保存技術の発達があったから出来ることで、本来はありえないことなのである。

 今回、問題になったケーキに使われる生クリームにしても、防腐効果がある砂糖を多く加えて甘過ぎる味にした昔ながらの作り方が保存期間は長いと言われている。現在のようにキシリトールなどの砂糖以外の甘味料を加えたり、甘過ぎないように味加減したケーキが増えた結果、保存料を加えなければならなくなり、むしろ、長期保存に向かなくなっているようである。

 原料の購入にしても、現在は、温暖化対策としての世界的なバイオエタノール生産の増加で砂糖価格が上がり過ぎており、お菓子の生産に影響が出ているようだし、消費の低迷で値上げが難しい菓子業界のお家の事情もありそうである。

 食品業界でこうした無理な経営利益を出そうとする事件が多いのは、株主への利益を優先し過ぎる最近の企業経営の傾向と無関係ではないと思う。同じような事件は様々な業種で起こっており、日本企業の経営体質の風化に繋がっているように思われる。



                                   <NOBUAKI>