<自衛隊武器先制使用問題>

自衛隊武器先制使用問題


 とうとう自衛隊が正体を現したということだろうか。防衛庁が防衛省になった途端に武器先制使用権限の法案が出て来るというのが、米国と一緒に戦争をやる国への路線変更が露骨に表れている。ニートやフリーターなどの収入が低くて生活が苦しい若者を作り出し、改正教育基本法で彼らを戦争に動員する準備も始まっている。あらゆる戦争回避手段を骨抜きにする為に憲法まで改正する。まさに戦時体制の準備以外の何物でもない。これからは、戦時国債の乱発が始まり、強制的に国債を買わせようとするだろう。それがもたらすのは、英米が長年苦しんで来た報復テロの嵐であり、日本を破滅に向かわせるシナリオの始まりである。

 自衛隊の武器先制使用権は要するに、事前警告無しに一方的に先制攻撃が出来るようにする為の下準備に過ぎないことを忘れてはならない。つまり、外国で戦争が出来る権限を自衛隊に持たせる為のさまざまな法案作りの一端に過ぎないということである。

 武器使用が可能になれば、米軍と一緒に戦うことが出来ることになり、世界中の様々な紛争地域で米軍の一部となって戦うことが出来ることを意味している。つまりは、自衛隊が事実上、米英合同軍に加わることが出来るわけである。

 これは日独伊三国同盟の時と同じで、日英米三国同盟の下準備と言って過言ではない。この先にあるのが何かは、現在、イラクで起こっている戦争を見ればわかるだろう。つまり、米軍の犠牲者を減らす為に、自衛隊に軍事活動の肩代わりをさせるということである。これは米国が戦争を計画し、日本が犠牲を払うという不条理な戦争が間近に迫っていることを意味する。

 ご存知の人も多いように、自衛隊の装備は米軍と違って貧弱な物ばかりであり、優れた性能を持ち、多くの戦争で使われて来たロシア製兵器が主流の中東の国々の軍隊やテログループにかなうわけがない。

 仮に、先制武器使用権限が自衛隊に与えられても、結果は悲惨なものになるだろう。まさに過去の戦争で旧日本軍が重くて性能が悪い武器に苦しんで来たのと同じ歴史を繰り返すことになりかねないわけである。しかも、これからの戦争は小型軽量のロボット兵器や遠隔制御兵器が大量に投入される新しい形の戦争になる。時代錯誤な装備の自衛隊が戦場に出れば、多くの犠牲者を出すのは誰の眼にも明らかだろう。

 例えば、イスラエルが研究開発している足長蜂ぐらいの大きさの対人ロボット兵器がある。これは空中を飛行して人間に襲い掛かり、爆発したり、神経ガスなどの毒物を撒き散らして人間を殺傷する兵器である。こういう超小型のロボット兵器は銃やロケット砲で攻撃しても効果が無い。この種の小型ロボット兵器は大量生産でコストを下げて、地雷や砲弾の代用品として近未来の戦場で大量に投入される可能性がある。

 また、これほど小型ではないが、将来小型化が可能なロボット兵器がすでに戦場に投入されており、ロボット偵察機やロボット偵察ヘリコプター、ロボット戦闘機、ロボット戦闘車、ロボット地雷など、遠隔制御で敵と戦うロボット兵器が多種多様に開発され、イラクなどで使われている。まだ、数が少ないが、これから大量生産されて主力ロボット兵器となる可能性がある。

 今後20年ぐらいで世界の戦場の多くで何らかのロボット兵器が使われるようになり、従来の戦争の戦い方は意味を失うことが予測され、その技術の多くは日本のロボット技術に依存すると考えられているのである。

 こうした現実を全く見ないで、政治家達は勝手に法案を通し、既成事実を作って戦争を始めようとしているわけである。しかも、戦力が枯渇すれば、すぐにど素人の学生を戦場に送る為に徴兵令まで作ろうとするのは疑う余地が無い。役立たずの旧式兵器を持たされて、十分な経験も積まずに戦場に送られ、遠隔制御の地雷で吹き飛ばされたり、自爆テロで殺されたり、ゲリラやテログループに捕まり、生きたまま切り刻まれて、インターネットに悲惨な姿の映像を晒す運命になるわけである。

 また、ロボット兵器の時代に入れば、さらに悲惨な最期が待っているのは言うまでもない。それこそ、テレビゲームのような殺され方をする結果になるのである。時代錯誤な考えしか持っていない政治家達の言いなりになるのがどれほど危険かは、現在の米国がイラクで効果の無い戦いをして多くの犠牲者を出しているのを見てもわかるだろうと思う。

 今の時代は、パソコンが発売されてインターネットが普及した20年間と同じで、ロボット兵器の開発と普及が始まり、ロボット兵器が遠隔制御ネットワークで統合されて巨大な戦術システムとして戦う時代に入るまでの過渡期にあたるわけであり、それを見越した戦略を持たない米国追従型のおざなり外交による自衛隊の武器先制使用権の容認はナンセンスである。

 政府も防衛省もロボット兵器に関しては何も問題にしないことが、この認識のズレを反映している。今は何も認めないで20年後を待つのが最善の道である。



                                   <NOBUAKI>