<支持率が急落する安部政権>

支持率が急落する安部政権


 「鳶が鷹を産む。」という諺があるが、「蛙の子は蛙。」だったようである。学生運動で倒された岸信介首相の孫である安部総理だが、最初から教育問題でつまづき、教育基本法改正案や防衛省昇格などの無理な法案を通した上に、今度は憲法改正に手をつけようとしている。昔だったら、とうの昔に学生が国会に雪崩れ込んで大混乱になっていたところだろう。有権者は行動に出ない分だけ支持率の急落という形で不快感を示している。果たして半世紀後の悪夢が復活するのだろうか。

 現在の政策が継続されれば、50年後の日本の人口は9000万人を割り、高齢者が人口の41%を占め、出生率は1.26となり、人口減が原因で日本経済の未来に陰りが出るのは否定出来ない状況にあることが予測されている。

 しかも、人口の4割を占める高齢者の多くがニートやフリーターを経験し、未婚で家族がいない孤独老人であり、年金や健康保険も受給できていないような貧困世帯になるだろう。

 さらに、こうした人々を国は現在も保障の対象から外すべく画策を繰り返しており、50年後には、その基準はさらに厳しいものとなり、ほとんどの人は国の保護を受けられない状況に置かれることは間違いない。まさに、「姥捨て山政策」がすでに始まっているわけである。

 出生率の低下と言っても、実態は結婚して子供を持つ世帯が急減して少子化が進んでいるわけで、低賃金や無収入が原因の未婚率の増加が少子化の元凶であることがはっきりしている。

 50年後に日本人口が9000万人まで減るという予測は、まだ楽観的過ぎるかもしれない。実際には、それまでの間に、国内でさまざまな不穏な動きが始まるだろうからである。

 まず、現在でも多い自殺者の増加が急激に増え続けることは間違いない。また、犯罪事件や殺人事件も急増するだろう。低賃金と未来への不安が労働意欲を喪失させ、現在でも多い事故や事件が急増することも間違いない。

 少子化問題は雇用問題であり、雇用が安定していて、社会不安が少なく、誰もが結婚して子供を育てていける社会であれば、出生率が急落することはないからである。もちろん、現在の状況はその逆であり、安定した雇用が減った結果、結婚して子供を育てることが大変な負担になりつつあり、また、高齢者になった後の生活保障も崩壊が始まっており、世代を経るごとに、状況が深刻になって行くことが予測される。

 安部政権が目指しているような精神論的な国家政策で、この問題が解決出来る見通しはまずないと言って良いだろう。また、誰もそれを期待していないのも事実である。国民の多くが望んでいるのは、社会不安の払拭と雇用環境の安定、そして、高齢化が進む中での安定した生活の保障である。

 それに対して、安部政権がおこなっているのは、あまりにも経済優先過ぎる政策であり、対外競争力を失い始めている企業を助けようとするあまり、雇用を犠牲にし、国内消費を犠牲にし、社会保障を犠牲にし、ついには国民全てを敵にしかねない状況に置かれている。

 支持率の急落は、それを端的に物語っているが、過去に同じ政策をおこなって暗殺された首相が数多くいることを思い出させるものである。

 このまま行けば、次の3つが大きな問題になる。まず、外国人労働者問題である。労働力の不足を安い外国人労働者で補おうとすればするほど、国内の失業や低賃金労働が増え続けて、それが排外主義的なナショナリズムに繋がる危険が高い。

 次に、低収入が原因の社会不安や不満が高まり、それが政府批判に結び付き、国民へ目を向けたナショナリズムの強い過激な政権を望む声が高まる。

 最後にグローバル経済に基づく改革全てを批判し、民営化された企業の再国営化や派遣事業法の廃止を望む声が強まるだろう。

 こうした政策を望む声が強まれば強まるほど、安部政権は孤立を深めて行くことは間違いないと思われる。すでに、南米では左翼政権が支配的になりつつあり、EUではネオナチが勢力を盛り返している。アジアでは中国やベトナムなどの社会主義国の経済成長が著しく、日本の衰退は鏡に映したように対照的である。

 精神論ばかりを焚きつける法案ばかりを通しても、現状が変わらなければ国民の不満を解消することは出来ないだろう。むしろ、愛国心の高揚が激しかった戦前に、首相暗殺が相次いだのは、政策の裏返しとも思える。

 愛国心教育や憲法改正などを始めれば、今の子供たちが大人になる10年後には、彼らが失業したり、低賃金で結婚も出来ない状況に置かれて、政治家が暗殺される事件が相次ぐ結果となることにもなりかねない。

 安部政権の支持率低下は、こうした懸念を国民の多くが持っていることを反映しているものだと思う。



                                   <NOBUAKI>