<あてにならない温暖化予測>

あてにならない温暖化予測


 地球温暖化については、科学者によって予測に大きなばらつきがあり、その中で政府は悲観的ではない予測を選ぶ傾向があるが、実際に的中するのは最悪の予測である場合が多いという。これはなぜなのだろうか。

 テレビ番組などで見る地球温暖化問題は、僅かずつ温暖化が進んで行って文明の破局を招くと認識している人が多いと思うが、必ずしもそうとは言えない。

 地球の気候は一律に変わって行くのではなくて、過去の気候と未来の気候を前後に往復しながら進んで行くものだからで、例えば、30年前の気候に戻る年もあれば、30年後の気候に進む年もあるわけである。だから、来年、30年後の未来の気候に変わって、真夏に最高気温が36度を超える日が連続二週間以上も続き、真冬が秋のような気候になることが無いとは言い切れないわけである。

 ただ、そういう極端な温暖化が起こる年が10年に1回という具合に多くはないだけであり、徐々に温暖化が激しい年になる比率が多くなって行くわけである。

 従って、まだまだ大丈夫だと思っていると、突然、真夏日が非常に多い年になって、熱射病で多くの人が倒れるということも起こり得るし、農作物への被害が大きくなることもあるわけである。

 また、温暖化予測を安易に楽観視することで、結果的には対応が間に合わない状況がより深刻になる結果を生んでいる。超大型台風がいくつもやって来て、被害が甚大になって慌てて対策を取るという具合にである。二酸化炭素の排出規制などの温暖化対策も環境異変が最悪のテンポで進んでいることが発覚するたびに強化を迫られているのが実情であり、それがなかなか進まないのは、経済への打撃を懸念する政府が前向きの政策を進めようとせず、焼け石に水のような、その場凌ぎの対応策を繰り返しては、お茶を濁すという結果になっているからである。

 最悪の予測を元に温暖化対策を考えるのならば、最も改革を余儀なくされるのは農業なのである。現在の日本のように食料だけ作っていれば農業が成り立つ社会は継続が難しい。石油価格の高騰と共に、世界的に燃料生産を目的とした農業への切り替えが始まっており、こうしたバイオ燃料への切り替えが最も遅いのが実は日本なのである。

 もちろん、これには理由がある。バイオ燃料の生産をおこなうには日本の農業はコストがかかり過ぎるし、生産量も限られているからである。結局は、海外からの輸入に頼るしか方法が無い。また、バイオ燃料を生産すると、食糧生産への皺寄せが来て、食糧生産が落ちる結果を招く。石油価格がバイオ燃料の価格よりも安定的に高価な時代が来るまで石油の消費を続ける以外に道が無いという考えが支配的なわけである。

 なぜ、バイオ燃料なのかと言えば、二酸化炭素を吸収して燃料に変える方法は穀物生産によって燃料を作る方法が経済的に採算が取れる範囲にあるからであり、それ以外の方法ではコストがかかる割りに生産量が伸びないからである。

 また、天然ガスやメタンハイドレートなどの石油に代わる化石燃料を採掘した場合も温暖化を止める役には立たない。石油価格が高騰するにつれて、徐々にバイオ燃料へのシフトが増えていると言われている。

 そういう中で遺伝子操作によって二酸化炭素の固定率が高く、成長速度が速い改良穀物の開発が続いているが、これが成功した場合は、逆に食糧生産の減少という問題が出て来る懸念もある。経済成長と飢餓の両立が難しい時代に入る危険性が出て来るわけである。

 世界の農地面積は現在、頭打ちの状況にあるという。塩害や森林伐採などで生産に適さないまま放置される農地が増え続けており、これが燃料生産に使われたとしても、農業用水の不足が問題になる。

 理想を言えば、海草を燃料に使えれば、最も良いわけであり、海草ならば農地も水も必要ではなく、海があれば生産出来るわけで、海草からバイオ燃料を作る研究をしている人達もいるようである。

 しかし、これは海洋開発を進めて、海の環境破壊を促進する結果を生む懸念があることも否定出来ない。どれを選んでも一長一短があって、理想通りにはいかないのが実情なのである。

 抜本的な対策が無いまま二酸化炭素の増加は続いており、温暖化問題は急速に深刻になって来ている。これからさまざまな物が温暖化対策を理由に消費を抑制される時代に入ると考えられる。

 温暖化問題は何か一つの対策を取れば全てが解決するというものではない。むしろ、温暖化は今後も何十年にも渡って続くものだと考えて、台風被害を防げるような住宅設計の促進など、温暖化被害を念頭に置いた都市計画が必要ではないかと思う。



                                   <NOBUAKI>