<代理母出産の衝撃>

代理母出産の衝撃


 50歳を過ぎた祖母が孫を出産したり、海外で外国人に子供を出産させて戸籍登録しようとして断られ、裁判に持ち込む。すでに、SFを遥かに超えた次元で現実問題となった代理母出産だが、予測されていたとは言っても、司法の判断が現実に追いついていないようである。これに遺伝子操作胎児の出産やクローン胎児の出産などが加わったら、裁判官の判断能力を超える社会問題となるだろう。

 後追い行政という格言があるが、司法もまた後追いの時代である。科学技術の進歩が早過ぎて、行政や司法が対応出来なくなっている段階に入っている。

 医学的には、受精卵移植による代理母出産は現実に可能になっており、司法の判断が出る前に既成事実を作ってしまおうとして先走る医者が後を絶たないようだ。自分の子供は本当に自分の子供かという問題が出そうなくらいに出産革命は急展開している。

 こうした遺伝子や出産に関するタブーが破られて、次から次へと新技術が投入され、情報革命が映像や音楽の価値観を大きく変えたように、出産革命や遺伝子工学が性の価値観を大きく変えようとしている。子供が生まれた時に、素直に自分に似ていることを喜べるのは今の時代までなのだろうか。今後は改造や改良が加わったり、他人が生んだ子供を育てるのが日常化しようとしている。人間の欲望はどこまで自分自身を変えようとするのだろうか。

 すでに、女性が子供を産むのではなく、人工胎盤装置を使って胎児を育てて出産に持ち込む技術開発も進んでいる。これが実用化されれば、危険を冒して子供を生む女性は激減する可能性がある。人類滅亡の一因になりかねない発明だろう。

 会社を休めずに出産時間が無い女性が代理母出産に走る危険は大きい。こうした代理母が生んだ子供を出産経験の無い女性がきちんと育てられるかは、難しい問題だろうと思う。特に障害児が生まれた時に責任問題が生じて争いになる危険が大きい。

 インスタント食品が発明されてから、我々の食生活は様変わりしたが、出産革命が普及したら、親子の関係まで様変わりするのだろうか。現在でも実の子供を殺害する親がいるのに、そうした代理関係で生まれた子供を実感の無い親が育てられるのかどうかは疑問に思う。

 我々男性は知覚的に子供を認識しているだけだが、女性は違うようである。代理母出産は男の論理で作り出された発明であり、女性が望んで生まれた技術とは言えない。

 このような男の論理だけで作られた発明がどこまで女性に受け入れられるか、また、それが社会的にどういう結果を生むかは、予測が難しい問題だろうと思う。どうも代理母出産は家族崩壊を進める役にしか立たないような気がする。人間とは何かを徹底的に追求して考えなければ、解決がつかない問題だろう。



                                   <NOBUAKI>