<英国航空機同時爆破未遂事件>

英国航空機同時爆破未遂事件


 テロ対策の強化が事件を未然に防いだと英国当局は言っているが、航空機に対する不安が再燃したという意味では、あまり良い結果を生んだとは思えない事件であった。今後、テロ対策の強化が進むにつれて、航空機のサービス低下や不便さが問題になるだろう。

 米国がテロ対策の強化を声高に叫び始めてからというもの、航空機の乗客に対する持ち物検査体制の強化がおこなわれ、それが原因で乗客が激減し、米国大手の航空会社4社が倒産状態での運行を余儀なくされるというありさまになっているが、ここで、また、大きなテロ未遂事件が起こった為、乗客は飲み物さえ持ち込めない状況になり、また、乗客の減少が始まりそうな雲行きである。

 そもそも爆破テロを完全に防ぐ方法があるのかと言えば、答えは否定的なものになるだろう。爆発物を機内に持ち込む方法はいくらでもある。有名なものでは、靴底にプラスチック爆弾を隠して置いて、マッチで火をつけて爆発させようとした事件。手荷物にプラスチック爆弾や液体爆弾を隠して置いて、飛行中に爆発させた事件。気圧計を付けた爆弾を荷物と一緒に機内に運び込んで、高度が上がって貨物室の気圧が下がってから爆発させた事件。爆発物を何も持ち込まずに、航空機そのものをミサイル代わりに使って世界貿易センタービルを爆破した同時多発テロ事件など、数え上げれば切りが無いほどの事件が起こっている。

 理論的には、空手をマスターして航空機の窓ガラスを素手で叩き割っても、機体を墜落させることが出来ると主張する人までいるくらいである。航空機の窓ガラスは多層ガラスなので、素手で割るのは難しいだろうが、小規模な爆発物や拳銃などを使って割ることは可能であり、航空機を墜落させることを目的にしたテロを無くすのは非常に難しいと言わざるを得ない。

 窓に限らず、機体もまた厚さ1mm程度の薄い超超超ジュラルミンという軽合金で出来ているだけなので、銃や爆発物による破壊に対して脆い構造である。粘土そっくりのプラスチック爆弾を窓や機体の継ぎ目に塗りつけて爆破することも出来るし、航空機を墜落させる方法はいくらでも考えられるのが現実なのである。

 今回の事件もペットボトルを二重にして、液体爆弾を機内に持ち込んで爆発させる計画だったわけで、爆発物の機内への持込が巧妙化したことを除けば、ごくありふれた方法による爆破テロ事件である。

 こういう事件が起こるのは、ニュースなどで知られているように、米国がアフガニスタンやイラクへ武力侵攻したことに対する反発からであり、戦争が戦場となった国だけの話ではなく、世界全体で起こっていることを意味している。

 現在までにアルカイダが宣戦布告した国々で同時爆破テロが起こっていないのは日本だけである。すでに準備が始まっていると考えても不思議ではないだろうと思う。

 テロリストとは一切交渉しないとか、テロには屈しないという原則論ばかり唱えていれば、スペインの政権が列車テロ後に崩壊したのと同じ目に会うのは間違いないだろう。日本が最後になったのは、決して偶然ではなく、アラブの友好国である日本に考えさせる時間を与えるのが目的だったのだろうと思う。テロが始まる前に、従来の政策を大きく変えることが、テロ回避の最も有効な方策だろう。



                                   <NOBUAKI>